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EURO2008、すべてにおいて最高

喜びに酔うスペイン。今大会ではスペインそしてUEFAもチャンピオン Keystone

スイス、オーストリア共催のUEFAヨーロッパ選手権「EURO2008」が幕を閉じ、はや1カ月が過ぎた。大会の総括で関係者はすべてにおいて過去最高だったと満足の色を浮かべた。

収益面だけ見ても、総収入21億4500万フラン ( 約2145億円 ) を計上し、うち4億1200万フラン( 約412億円 ) の利益を上げ、前回のポルトガル大会の収益を大幅に上回る好業績だった。

すべての分野で記録的な進歩

 「我々は過去最高の大会にするという目標を掲げた。統計や調査結果はそれが実現できたことを示している」
 と、スイス・サッカー協会 ( ASF ) のラルフ・スロツォーベル会長は30日、喜びの色を隠さなかった。
「ファンの態度もすばらしかった。特にベルンでのオランダのファンたちの態度には感心した。今まで見たことのないものだった」
 と、スロツォーベル会長は友好的で非常に規律正しいファンの態度に賛辞を送った。

 2004年のポルトガル大会、さらに2012年のポーランド・ウクライナ大会でも「EURO 2008 SA」の最高運営責任者を務めるマルティン・カレン氏も
「大会のほとんどすべての分野で、記録的な進歩が見られた」
 とコメントした。

前大会を5割上回る

 収益では、テレビの映像権から観戦チケットに至るまですべての分野でかなりの伸びを示した。総収入21億4500万フラン ( 約2145億円 ) を計上し、うちメディア収入が13億2000万フラン( 約1320億円 ) 、広告収入が4億6100万フラン( 約461億円 ) 、チケット収入が1億4900万フラン( 約149億円 ) 、企業の接待パッケージ収入が2億1500万フラン( 約215億円 ) だった。

 その結果、総収入額は2004年のポルトガル大会をほぼ5割上回る額となり、4億1200万フラン( 約412億円 ) の利益を得た。同収入は、2012年までの間、ユースや女子サッカー大会費用に使用され、またコーチや審判の教育や運営費にも回される。

多数の観戦者

 また、テレビで生放送された31試合のそれぞれを、およそ1億5500万人が観戦した。スイスでは10人に9人が少なくとも1回は大会を観戦し、オーストリアでは10人に8人が観戦した計算となる。

 テレビでの観戦率を2004年と比較するとスイスでは29.9%増、オーストリアでは33.9%増だった。スペインでもテレビの観戦者数は記録を更新し、ワールドカップでの観戦者数1220万人を上回る1450万人がEURO2008を観戦した。

 公共の場で放送するライセンス要請は56カ国から5390件あった。うちスイスから720件、オーストリアから880件。しかし、スタジアムで直接観戦したファンの79%が男性だった事実からして、実際に公共の場でスクリーンを観たのはやはり男性中心だったようだ。

伝送切断のダメージ

 しかし、決算総括は必ずしもすべてバラ色ではない。いくつかのテレビ局がバーゼルでのドイツ対トルコの準決勝戦で、およそ20分間伝送が切断され、ダメージを被ったため訴訟を起こしている。

 雷を伴った嵐のせいで、ウィーンに設置されたUEFAのテレビ伝送センターから映像を受け取る外国テレビ局が主に被害にあった。特にドイツが2回目のゴールを決めた時の映像が伝送されなかったのは決定的だ。

 「対策を今検討している」
とカレン氏は語り、訴訟を起こしているテレビ局の名も、賠償額も明かさなかった。ドイツのテレビ局「ZDF」は、その中でも特に訴訟を積極的に検討していると明言している。

swissinfo、外電 

Euro1992、スウェーデン、6800万フラン ( 約68億円 )
Euro1996、イギリス、2億4200万フラン( 約242億円 )
Euro2000、ベルギー・オランダ、3億7900万フラン( 約379億円 )
Euro 2004、ポルトガル、14億フラン( 約1400億円 )
Euro 2008、スイス・オーストリア、21億4500万フラン( 約2145億円 )

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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