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タリバンとのジュネーブ会談に疑問の声

アフガニスタン・タリバン政権の代表団が10日にジュネーブを訪問し、スイスの政府や国際機関、NGOの関係者と会談した。自国への人道援助を取り付けることがタリバン側の狙いだったが、会談が同政権の国際的承認につながるのではと疑問視する声も出た。

世界食糧計画(WFP)外部リンクによると、アフガニスタンでは人口約4200万人の過半数が飢餓の危機に直面している。昨年のタリバンによる政権掌握後、同国の外貨準備が凍結され外国からの援助が断たれたため、経済の崩壊が進んでいる。ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)の南アジア特派員トーマス・グーターゾーン氏は「過去20年、公共支出の最大75%が外国からの援助で賄われてきた。今はその援助が途絶えている」と伝えた。この問題やアフガニスタンの人道危機を巡る状況については、国際都市ジュネーブでの諸会談でも取り上げられた。

スイス連邦外務省のラファエル・ネゲリ・アジア太平洋担当大使は10日、タリバン代表団とジュネーブで面会。スイス側はタリバンが人権を重んじ、国際人権法を守るよう望むと伝えた。

イスラム過激派タリバンを合法的な政府として承認した国はなく、代表団のジュネーブ訪問は物議を醸した。米ニューヨークのNGOヒューマン・ライツ・ウォッチは今年の報告書外部リンクで、タリバン政権下のアフガンで人権侵害が増加している現状について詳しく報じた。

現在、在スイスアフガニスタン大使館は前政権が任命したナジル・アンディシャ大使が代表を務める。自由主義・反タリバンを掲げる同氏は、人権理事会でタリバンを繰り返し非難してきた。

タリバン代表団のジュネーブ訪問は、世界中で民間人保護のために武装組織と協働するNGOジュネーブ・コールが企画。会談には世界保健機関(WHO)やスイス外務省、赤十字国際委員会(ICRC)、国境なき医師団のメンバーも出席した。タリバン代表団は1月、ノルウェーの首都オスロで欧米各国と同様の会談を行っている。

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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