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NGOの中国批判

国境なき記者団が北京市内でデモンストレーション Keystone

オリンピックを前に非政府組織 ( NGO ) が中国政府は、人権を無視し続け、報道機関の活動に制限を加えていると批判している。

アムネスティ・インターナショナルや国境なき記者団などは、国際オリンピック委員会 ( IOC ) に対し、中国政府が人民により多くの自由を与えるように仕向けよと訴えている。

IOCは黙認

 アムネスティ・スイス支部の代表者であるマノン・シック氏によると、
北京オリンピックは中国における人権向上にとって大きなチャンスであるにもかかわらず、中国政府は反政府的な行動に対しより厳しい圧力をかけているという。アムネスティはオリンピックの開催に向け中国政府は、住民の強制退去、軽犯罪の取締りの強化、インターネットサイトのアクセス停止措置の増加、裁判もなく市民を家に何時間も拘束したりして、北京を「クリーンニング・アップ」していると指摘する。一方、ジュネーブに本部がある世界拷問撲滅団体 ( World Organisation Against Torture / OMCT ) のエリック・ソッタス氏は
「すべてが緩慢に動いていますが、中国政府はイメージには敏感です」
 と、わずかながらも希望的だ。

 国境なき記者団によると、33人の記者と中国政府に批判的な立場でインターネット上で情報を流すサイトの製作者55人が監獄に入れられているという。同団体によると、中国政府が数年前に認めた外国人記者に対する保護法は尊重されず、特に国内を自由に移動して報道をすることを制限していると指摘した。また、オリンピックの記者登録を希望する記者に対しては、記者章の不発行をちらつかせ、管理したいのだとも言う。

ボイコットの力

 「IOCのコミットメントの欠如にはがっかりさせられています」
 と国境なき記者団ジュネーブ支部のマイケル・ロイ氏は嘆く。
「IOCの黙認態度は、すべての失敗につながるものだ。IOCは中国における表現の自由がないことを公式に指摘するわけでもなく、オリンピックに必要な透明性について一言も触れたことはない。こうした間違いはオリンピック史上、重大な間違いである」
 と国境なき記者団のロベール・メナード氏はIOCのジャック・ロゲ会長に公開書状を送ったりもした。

 国境なき記者団はさらに、北京オリンピックのボイコットを唱え、これまでこうしたボイコットが与えた好ましい影響を挙げる。1980年のモスクワ大会はアメリカが中心になってボイコットされたが、1979年のソ連アフガニスタン侵攻に対する抗議の行動だった。結局アメリカには64カ国が追従した。1984年のロサンゼルス大会では、モスクワボイコットに応え、14カ国がボイコットし返した。イランはモスクワとロサンゼルスの両方をボイコットした。

swissinfo、外電

スイス、ローザンヌに本部を置く国際オリンピック委員会 ( IOC ) は2001年7月13日、2008年の夏季オリンピック主催都市を北京と決定した。開催指定を受け北京市民は大喜びでお祭気分に浸ったが、人道擁護団体やチベット人亡命者などはこの決定を「歴史上最悪な決定」、「賄賂の報酬結果」であると非難した。また、ナチスのプロパガンダに利用された1936年のベルリンオリンピックと比較する団体もあった。
一方でオリンピック開催により中国の民主化が進むという主張もあった。IOCは人権問題には触れずに開催地を決定した。

北京オリンピックは8月8日午後8時に開会式があり、24日まで開催される。
28競技、302種目で、1万人以上の選手が能力を競い合う。パラリンピックでは、20競技、471種目が行われる。
オリンピックスタジアムはスイスの有名建築事務所「ヘルツォーク&ド・ムーロン」が手がけた。
設備建設などにのべ3万人が携わった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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