スイスの視点を10言語で

スイス上院、たばこ広告規制強化案を可決

たばこの広告
© Keystone / Gaetan Bally

スイス全州議会(上院)は26日、未成年者へのたばこの販売を禁止し、紙媒体・インターネットメディアのたばこ製品広告に厳しい規制を設ける連邦法改正案を賛成多数で可決した。

スイスは2004年6月25日、世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約に署名したが、批准はしていない。たばこの健康被害に対する国際世論の高まりを受け、議会がようやく腰を上げた。

今回の法改正案は、未成年者へのたばこ製品広告禁止などに関する連邦内閣の勧告外部リンクよりもさらに踏み込んだ内容だ。議会は以前にも規制強化案を可決しようとしたが、経済への影響をおそれた中道・保守系の議員たちに阻まれてきた。

しかし、若者へのたばこ広告規制を求めるイニシアチブ(国民発議)が今月12日に出されたことで、議論の風向きが変わった。

改正案では、新聞や雑誌などの紙媒体、オンラインメディア上でのたばこ製品の広告を禁止する。映画館、製品、販売店、成人へのメールは、警告ラベルを付ければ、引き続き許可される。

左派は法改正案の内容が十分ではないと主張する。

各州には、より厳しい法律を設けることが許可される。現在、11の州では未成年者へのたばこの販売を禁止し、12の州では16歳以上と定める。規制がない州は 3州ある。

透明性

スイスはフィリップモリスインターナショナル、JTインターナショナル、ブリティッシュアメリカンタバコなど世界最大手のたばこ企業が本社を置く。今回の法改正案は、こうした巨大企業の経済活動にも大きな足かせとなりそうだ。

法改正により、たばこ会社は政府が主催する国際的なイベントや活動を後援できなくなる。また、連邦内務省保健局に対し、広告、宣伝、スポンサーの費用を毎年報告しなければならない。

今回の法改正前に、連邦外務省が2020年のドバイ国際博覧会でスイス館を後援する目的で、フィリップモリスインターナショナルと提携を結んでいる。外務省はその後、同社との契約を取り消した。

電子たばこ

上院はまた喫煙禁止場所の拡充も求めた。これにはニコチンを含有する・しないにかかわらず、電子たばこも対象になる。一部の上院議員たちは内閣に対し、電子たばこにたばこ税を再導入することを求めた動議を提出した。

審議は国民議会(下院)に移る。

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

事件現場

おすすめの記事

チューリヒ、男がナイフで園児襲撃 命に別状なし

このコンテンツが公開されたのは、 チューリヒ市北部で1日、路上を歩いていた園児の集団に男が刃物で切りつけ、子ども3人が負傷した。チューリヒ市警察は中国人留学生の男(23)を逮捕した。

もっと読む チューリヒ、男がナイフで園児襲撃 命に別状なし
氷河

おすすめの記事

氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化

このコンテンツが公開されたのは、 スイスはイタリアとフランスとの国境を変更した。イタリアとの国境は氷河の融解、フランスとの国境はジュネーブ地方の新しい路面電車と河川にそれぞれ関連している。

もっと読む 氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化
スイス中銀

おすすめの記事

スイス中央銀行、0.25%の利下げ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中銀、SNB)は26日、政策金利を0.25%引き下げ、1%にすると発表した。

もっと読む スイス中央銀行、0.25%の利下げ
三輪車のレプリカ

おすすめの記事

広島被爆の三輪車レプリカ、ジュネーブで展示

このコンテンツが公開されたのは、 1945年8月6日、広島への原爆投下で被爆し死亡した子どもが乗っていた三輪車のブロンズ製レプリカが、ジュネーブの国際赤十字博物館に展示されている。

もっと読む 広島被爆の三輪車レプリカ、ジュネーブで展示
スイス連邦議事堂前の人混み

おすすめの記事

スイスの人口が900万人を突破

このコンテンツが公開されたのは、 連邦統計局(FSO)が19日に発表した2024年6月末のスイスの永住人口は900万2763人で、初めて900万人を突破したことがわかった。

もっと読む スイスの人口が900万人を突破
時計師

おすすめの記事

苦境のスイス時計業界 政策支援を要請

このコンテンツが公開されたのは、 スイス時計産業は難局を迎えた。スイス製時計への需要が緩み、フラン高が収益を圧迫する。業界は警鐘を鳴らしている。

もっと読む 苦境のスイス時計業界 政策支援を要請
裁判所

おすすめの記事

重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部アールガウ州で、重度の障がいを持つ娘(3)を殺害したとして、地方裁判所は13日、両親を故意の殺人罪・殺人未遂罪でそれぞれ禁錮8年の実刑判決を言い渡した。

もっと読む 重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス
サニヤ・アメティ氏

おすすめの記事

キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの自由緑の党(GPL/PVL)チューリヒ支部に所属するサニヤ・アメティ氏(32)は9日、党の役職を辞すると発表した。自身のインスタグラムでキリストと聖母マリアを描いた絵画を的に射撃の練習をする写真を投稿し、大きな批判を浴びていた。

もっと読む キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部