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チューリヒのトイレ散歩

チューリヒの公衆トイレ「ZüriWC」集。堂々とその姿をアピールするトイレや、控えめなトイレなど、チューリヒ湖畔にそった3キロメートルの散歩道にあるトイレを散策。チューリヒ市内の中心地にあるキオスクとの一体型トイレ swissinfo.ch

もう我慢ができない・・・、というのに探している例の場所が見つからない。緊急事態にあってトイレを探しながらうろうろするといった経験は誰でもあることだ。

このコンテンツは 2008/11/02 15:26

一方で、世界の4割の人たちは、トイレのない生活を強いられているのも事実。スイス開発援助機関「へルヴェタス( Helvetas ) 」によると、衛生環境が悪いために毎年、180万人の人が死亡しているという。

ちょっと前までスイスも

今年は国際連合 ( UN ) が定めた「国際衛生年」にあたる。衛生管理はもうクリアしたと思われている先進国でも、比較的最近までこの問題を抱えていた。19世紀にはヨーロッパ全土に3回もコレラが流行し何千もの人たちが、手をこまねいて呆然とたたずむ医者の目の前で死んでいった。汚水と病気の関係が明らかになっても、公衆トイレの建設が普及するまで時間がかかった。

昔の貧困街では、家にトイレを作る場所もなく、住人は外で用を足していた。衛生管理が問題として注目されるようになると。アパートの共同トイレさえ作れないような市民のために、公衆トイレがどんどん作られるようになっていった。

市民が使えるトイレ

しかし公衆トイレの建設ラッシュの中で、忘れられた問題があった。それは、使い易さの問題だ。公衆トイレは目立たなく地下など隠れた場所に建てられていく。分かりやすい場所にあるが目立たないといった公衆トイレは、売春を目的とした出会いの場所として、また、麻薬取引の場所といった別の目的で使われるようになった。いまでも、落書きされたり、壊される格好の対象となっている。こうして、一般市民は公衆トイレを使わなくなり、その評判も落とすという悪循環に陥っている。

こうした中、スイス最大の都市チューリヒの市当局は、公衆トイレの悪いイメージを払拭しようと決意。その効果は上がっている。市民に公衆トイレについて考えてもらい、問題として認識してもらい、意見を言ってもらうという方針で「ご意見箱」のあて先や電話番号があることも広く市民に知られている。

公衆トイレに貼られたロゴ「ZüriWC」は、市民の公衆トイレに対する関心を引き付けるものだ。ZüriWCのインターネットのホームページでは、市民に公衆トイレで何が起こっているかといった情報を掲載している。古い施設は改造され、新しい公衆トイレが建設されているといった情報だ。責任者のウルス・ブルンナー氏によると
「需要は高まっています。あらゆるところでそういったことを聞きます。スポーツグラウンドで、公園で、スポーツ施設で市民はトイレに行けることを望んでいます」

綺麗な公衆トイレはみんなのもの

ZüriWCは市内全域94カ所にあるが、19世紀の石造りのトイレから、21世紀の明るい色で塗られた人工素材の建物などさまざまだ。このうち6カ所は歴史的建築物として登録されている。そのほか、男女兼用のコンパクトで最新流行のデザイントイレや、クローム素材で清潔さがたやすく保たれるようになっているものや、蛇口が自動式のものなどがある。

ZüriWCは、設置された環境にもしっくりくることが大切だ。古い施設の方がメンテナンス経費はかかるとブルンナー氏は言う。古い施設でも新しいものでも、障害者が使えるようにしている公衆トイレがある。障害者には特別に「ユーロキー」が渡される。ユーロキーがあれば、EU ( 欧州連合 ) のあらゆる公衆トイレに行ける。キーがない人は1フラン ( 約86円 ) を払うことになる。そのほかの公衆トイレは、無料だ。「今後も有料にすることは考えていない」とブルンナー氏は言う。奇麗に掃除された公衆トイレはみんなのものだというのがブルンナー氏の考えだ。安全性に問題があるトイレは、入り口を動かし視界を広げたり、特別な照明を付けるなど改善された。

昔と今

現在も使われている最古の公衆トイレは1898年に作られたものだ。紳士用は1870年代に設置されたが、最初の婦人用トイレの出現は1893年まで待たなければならなかった。婦人用の公衆トイレについて当時は、女性は使用料が高いと感じ、男性は、女性は外を出歩かないで家に居るべきだという考えがあったためだという。

以前はすべての公衆トイレには管理者が常駐していた。現在24時間にわたって管理者がいるトイレは5カ所だけとなっている。昔も今も管理者の仕事のひとつは掃除だ。管理者の居ないトイレは、巡回で掃除される。トイレの掃除というと人気のない仕事と見られるかもしれないが、昔は主婦が家の近くで働ける副収入源として理想的と見られていた。最近のトイレの掃除は全自動で、知らない人は便座が飛び出て、水が流れ出すことに驚かされるかもしれない。

以前は公衆トイレは不足し、汚水による伝染病に悩んだ人々が居たことなどはすっかり過去のこととなっている。しかし、国際衛生年の今年は、途上国のトイレ不足による人々の叫び声を聞く良い機会になるのではないだろうか。

swissinfo、ジュリア・スラッター チューリヒにて 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

トイレ事情

世界の4割の人たちが、トイレを持っていない。
不衛生が原因で毎年180万人の人が死亡する。汚水が地下水に混じり、飲料水として使われることが原因。汚染された飲料水を飲むと、コレラ、腸チフス、赤痢にかかる。19世紀のヨーロッパでもコレラで多くの人が命を落とした。それまでコレラは空気感染すると思われていた。
1854年にイタリア人のフィリッポ・パキーニによってコレラ菌が発見されたが認められず、ドイツ人のロベルト・コッホが再発見してコレラ菌の存在が明らかになった。公共衛生管理や公衆トイレの設置により、汚水による病気の撲滅が可能となった。

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