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UBS臨時株主総会 僅差で切り抜ける

UBS銀行マルセル・オスペル最高経営責任者、厳しい批判の矢面に Keystone

UBS銀行は2月27日、アメリカのサブプライムローン関連の取引による損失について、特別監査を行うよう株主からの要求があったため、特別株主総会を開催した。

4時間弱の討論の末、この提案は53.7%の反対で拒否された。要求したのは、会社運営のモラルを問う、年金ファンド「エトス ( Ethos ) 。

厳しい批判と経営者の責任

 エトス基金の経営責任者ドミニク・ビーダーマン氏は、多くの株主の支持を得たものの、可決に必要な過半数である3億5294万4860株は得られなかった。しかし、3億1406万5169株の支持を受け、UBSへの特別監査を希望する株主が多いことが明確になった。

 ビーダーマン氏が
「株主であるわれわれが、マルセル・オスペル氏を最高経営責任者として選び、UBSの経営とそのコントロールを任せた。しかし、オスペル氏はその役割をしっかり果たさなかった」
 と発言すると会場から大きな拍手が起こった。その後の討議でも、小口の株主の発言が続いた。特に、スイス企業の経営陣の膨大な報酬にブレーキを掛けようと国民投票においてイニシアチブを起こしたトマス・ミンダー氏も厳しくオスペル氏を非難し、会場は一時騒然となった。

 ビーダーマン氏の提案は予想に反して僅差で否決されたものの、特別監査については最終決定が下されたわけではない。エトス基金は額面200万フラン相当の株を所有しており、裁判を起こす権利を持っていることを、ビーダーマン氏は総会前に明かしている。UBSが特別監査を拒否する理由は、連邦銀行委員会 ( EBK/CFB ) の監査で十分でエトスの要求を上回る監査がなされるという考えからだ。

 オスペル氏は株主総会の開幕演説で
「サブプライムローン市場の下落については、非常に遺憾に思う。問題を美化することはできない」
 と語る一方で、サブプライムローンの損失は異例なことであり、UBS銀行だけの問題ではないことを強調した。また、責任問題については
「経営陣とわたし個人にとって、責任とは第一に義務である。1企業のトップの座にある者として、義務とは、忠義心、忍耐力そして勇気を持つことだ」
 と語り、責任の重さを強調した。さらに、
「経営陣の人的強化が必要。後任者も決めなければならない」
 と、近い将来の引退をほのめかした。

なお、シンガポールや中東の政府系ファンドからの融資による増資および新株発行による配当案も可決された。

swissinfo、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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