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W杯に飽きたら スイスの山奥に美男を探しに行け!キャンペーン

ビデオに登場するイケメンたちは皆本物のスイス在住のスイス人. myswitzerland.com

6月のサッカーW杯を前に、スイス観光局が大胆でセクシーなビデオクリップを発表し、世界中で話題を呼んでいる。スイスの山の景色にイケメンのオンパレードでキャッチフレーズに「マダムよ、W杯の夏にスイスの山に来てはいかが?男たちはサッカーよりもあなたをもっと気にかけている」と呼びかけている。

このユーモアに富んだ大胆なビデオ・クリップは真面目なスイス人のイメージを一新するもので、世界中で「大評判に」とスイス観光局。確かに、観賞した女性なら是非スイスの山に行ってみたくなるに違いない。

 軽快な音楽とともにまずは、上半身裸のハンサム君がスイスの丘の上の牧場を耕し、ニヤッと笑う。次は登山電車の甘いマスクをした車掌がネクタイを締め直しながら、含み笑いを投げかける。そして、筋肉隆々とした二人の木こりが振り返り、登山をしている冒険野朗が唇に白いリップクリームを塗る。次は観光客船の船長さんが縄を縛りながらがっちりポーズをとる。最後のとどめに、牛の乳を搾る超美男青年が流し目でニッコリと笑いかけてくれる。たった、35秒のビデオ・クリップだ。

一銭も掛からずに大成功

 スイス観光局のエディット・ズワイフル氏は「このコマーシャルは大成功です。何といっても、一銭も払わずに世界中のメディアで取り上げられたのですから」とホクホクだ。5月から流されたこのクリップはドイツ語圏のテレビニュースで紹介されたのを機に、その大胆不敵さが、世界中のテレビ局で紹介され、日本でもJウェーブなどのラジオで紹介された。

 本格的な放映は6月のW杯直前からでスイスの他、イタリア、フランス、ドイツなどW杯の隣国のサッカーにへきえきしている女性群を狙っている。このため、Wカップ期間中からスイス観光局は多くのお得なパッケージツアーを企画しており、一人でも「もちろん、サッカー好きの旦那とカップルでも」スイスへの旅行を誘い、W杯のおこぼれに預かろうという狙いだ。

 このうえ、スイス観光局のサイトでこのクリップの出演者の人気投票まであり、抽選でスイス旅行が当たるようになっている。

誇大広告か?

 このキャンペーンは「ドイツのサッカー杯にウンザリしたドイツ女性をスイスに来させよう」といったアイデアから思いついたという。前出のズワイフル氏は「皆さん、海外では『驚いた』といった反応が多かったです。スイスにはチョコレートとチーズだけでなく、美男子もいるぞと主張したかったのです」とのこと。

 批判については「99%は好評でした。独のスピーグル・オンラインでは上半身裸のモデルについて、『性観光を促す』といった批判がありましたが、それは解釈の問題でしょう。だって、農作業をすれば暑いですから服を脱ぐのは自然でしょう」と、どこ吹く風といったところだ。

 地元、スイスでの評判はかなり良いようだ。しかし、ちまたのスイス人女性にその信憑性を聞いてみると「あまり、道端では見かけない『サンプル』だけど、山に行かなければならないのかしらね」(ベレニス・シェンベルジェさん、26歳)や「私もカッコいい、チーズファーム屋を知っている」(モニック・ブシェさん、55歳)、「スイス男性のシンプルで無骨なところが結構、象徴的。でも、現実ではあそこまで美形でないかも」(ジョゼピーナ・ボサールさん、38歳)といろいろだ。 

 実際、ビデオに登場する7人のいい男は全て「本物」のスイス人という。スイス在住の様々な職を持つ普通の人から選ばれた。一人だけ、本当に農業を営んでいるのはクリップの最後を飾る美男子で、なんと2005年のミスタースイスに選ばれたレンゾ・ブルメンタール氏。一概に「誇大広告」とも言えないようだ。

期待する外国人観光客

 スイスがこのようなキャンペーンを張るのはここ最近、外国人観光客が盛り返してきたからだ。連邦統計局によると2005年には宿泊率が2.7%増え、2006年もさらに増え続けると見通している。2005年は9.11以来、激減した米国人観光客が戻ってきたことと、2004年末のスマトラ沖地震による津波被害以来、南国よりもっと近場の観光地を選ぶようになったからと観光局は分析している。


swissinfo、 屋山明乃(ややまあけの)

- スイスの観光業はGNPの5%に当たる。

- 連邦統計局によると2005年には宿泊率は2.7%も伸び、2006年にも1.1%の伸びを期待している。

- この宿泊率の半分(55.6%)は外国人観光客だ。

- もっとも多い外国人観光客はドイツ人(16.9%)、英国人(6.1%)、米国人(4.5%)、フランス人(3.7%)にイタリア人(3.1%)で日本人は1.8%のみ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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