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オピニオン


もし市長たちが世界を治めたら



Bruno Kaufmann




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Bruno Kaufmann

「自由対コントロール―民主主義的答えのために」。これは一連のテロ事件のさなかにフランスのストラスブールで11月に開催された、第4回世界民主主義フォーラムのタイトルだ。悲惨な事件にひるむことなく、欧州評議会とともに政府や議会、アカデミー界と市民社会の代表が、市民の政治参加に積極的な都市・地域のネットワーク作りを始めた。

 ベイルート、バマコ、パリでのテロ事件を受け、フォーラム開催当日、欧州議会のあるストラスブールでは厳重な警戒態勢が敷かれた。フランスとドイツの国境付近では入念な入国審査が行われ、街中では武装した兵士が警戒に当たっていた。また、フォーラムの会場では参加者や手荷物全てが検査を受け、さらに防犯カメラでの監視も行われた。

 そうした中、直接民主制を扱った同フォーラムでの全体会議での議論からは、少数の過激派の脅威に対する世界中の政治家の無力さが垣間見られた。

アメリカよりもノルウェーから学ぶ

 アメリカのジャーナリストでコンピューターセキュリティーの研究者、ジェイコブ・アップルボームさんが、開会式でこれまでのテロとの戦い方を問題視した。彼は言う。「皆さんには、私の国が犯した間違いから学んでほしい。テロと戦うために暴力を行使すれば、まさに彼らが求めている『さらなる暴力』を提供することになる」

 アップルボームさんは、2011年にアンネシュ・ベーリング・ブレイビクが69人を殺害した、ノルウェー連続テロ事件を取り上げて訴えた。「ノルウェーはさらなる民主主義への道を選択した。私たちはアメリカに倣うべきではない。ノルウェーのように、暴力ではなく、さらなる民主化への道を進むべきだ」

 宗教的な過激主義、経済危機、気候変動が問題となっている今の時代において「さらなる民主化」とは何を意味するのか。この疑問に対して同フォーラムが提示した興味深い答えは、「地域レベルで市民の力を拡張していく」ことだ。

 アムステルダム、アルンスベルク、ボルトン、ボン、ブカレスト、ファルン、ヘント、カトヴィツェ、リスボン、モントリオール、マドリード、ネアポリ・シキエス、ニシュ、パレルモ、パリ、レイキャビクの16都市の代表たちが、投票日だけでなく毎日市民が政治に参加できる方法をプレゼンした。

 例えばポーランドのカトヴィツェの市民は最近、インターネット上で政策決定者と交流し、政策決定過程に参加できるようになった。「参加型の予算編成、社会問題についてのオンライン協議や市長とのオンライン会議を行っている」とカトヴィツェ市当局のエヴァ・ガイエヴスカさんは言う。同都市では、政治参加に積極的な市民を支援する、公的なサポートチームも存在する。またレイキャビクも、インターネット上で市民が、政治決定へ参加できるような政策方針を採用した。

政治参加のインキュベーター

 欧州議会は地域レベルでの民主化を促進するために、いわゆる「(政治)参加のインキュベーター」とも呼ばれている、新たなツールキットの開発に取り組んでいる。これは、政治参加の方法、技術、経験などの情報が集められるもので、関心を持つ世界中の地域に対して提供される予定だ。

 その第一段階として、同フォーラムは集団学習会「ハッカソン」を開催し、多数の国から出席した民主主義のイノベーターと地方政治家が、アイデアと経験を共有した。

 政治学者のベンジャミン・バーバーさんは最新の著書「もし市長たちが世界を治めたら(If Mayors Ruled the Globe)」(仮題)の中で、いかにして地域の政治的アプローチが、国家を超えた複雑な問題の解決を促進するかを論じている。気候変動や貧困などの問題に直面し、国家の政治は麻痺(まひ)している。だからこそ、よき政治運営の新たな促進力は市や町なのだとバーバーさんは主張する。

 ストラスブールでは世界中から集まった50人以上の参加者が、市民の政治参加に積極的に取り組む都市や地域から成る、グローバルネットワーク構築のアイデアを支持した。これは、2015年春にチュニスで開催された「現代直接民主制グローバルフォーラム」から発展したものだ。2016年11月にスペインのサン・セバスティアンで開催される次回のグローバルフォーラムでは、この新たな都市ネットワークを発足させることを目標にしている。


(独語からの翻訳・編集 説田英香), swissinfo.ch

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