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インフラ整備


鉄道駅、利用客急増で絶えず拡張


アンドレアス・カイザー


上空から見たチューリヒ中央駅の様子。多くの列車が乗り入れる (Keystone)

上空から見たチューリヒ中央駅の様子。多くの列車が乗り入れる

(Keystone)

急増する列車利用客、便利な乗り継ぎを考慮したダイヤ構成、鉄道網の拡大、駅構内のショッピングセンター化によって駅の収容力は限界に達している。そんな中、チューリヒとジュネーブでは鉄道駅の改造計画が進められている。

 チューリヒ中央駅は毎日延べ3000本の列車が発着する、世界で最も頻繁に利用されている駅の一つだ。またスイス全土では、日々、およそ100万人の通勤者や観光客が電車を利用しており、利用客数は増加の一途(いっと)をたどっている。

 スイス政府は、2030年までに電車の利用客が45%増加すると予測している。特にラッシュアワー時は座れない乗客が通路をふさぐほど混雑し、それもエスカレートするばかりだ。スイスの主要駅の収容力はいよいよ限界に近づいている。

 原因は、単に乗客数が増加し続けているからだけではない。「電車の発着のタイミングが乗り継ぎに便利なダイヤになったことで、乗り継ぎ客が急増した。利用客は毎時、もしくは30分ごとに発着する電車に集中して乗り継ぎをする。さらに、特急列車の増加に伴い、駅の利用客も増加した。また、駅はショッピングセンターと化し、買い物目的の利用も増えている。駅に来ても全く電車を利用しない人たちもいる」と、連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ/EPFZ)の交通計画・輸送システム研究所のウルリヒ・ヴァイトマン氏は説明する。

チューリヒ最大の建設プロジェクト

 スイスの大・中規模の都市にある駅には二つの共通点がある。それは、都心に駅が立地していることと、過去数十年間でその規模が拡大し続けていることだ。「駅の利用客は過去数十年間にわたって横ばい、もしくは若干増加している程度だった。しかし、ここ20年間の需要はそれ以前と比較して明らかに高くなっている」とヴァイトマン氏は語る。

 この先10年から15年の間に、スイス連邦鉄道(SBB/CFF)は乗り継ぎ目的で頻繁に利用される主要な駅を根本的に改築していく予定だ。駅の建物やプラットホームを改築するだけでなく、線路の拡張工事も行う。ベルン、バーゼル、ルツェルン、ザンクト・ガレンといった都市ではさらに大きな改築工事が計画されている。

 ジュネーブとチューリヒの駅では改築工事が行われている最中だが、チューリヒ中央駅の拡張工事や、時間のロスを改善する新区間「直径ライン」の建設は20億フラン(約1630億円)をかけ、一つの町で行うものとしてはスイス最大の建築プロジェクトだ。「直径ライン」の完成を待つまでは、列車は中央駅に到着した後、折り返し反対方向に走行しなければならない。「ある程度の状態までは、小さな改築工事対策を行うことで駅の収容量を増やすことができる。しかし、さらに収容量を増やしたい場合は、大きな改築工事を行わなければならない。その規模はかなりのものになる」とヴァイドマン氏は言う。

時間短縮と素晴らしい景色

 ベルン-チューリヒ間の列車の走行時間は56分。これほど速い交通手段はほかにはない。しかし、ベルンを出発した後、チューリヒ空港やザンクト・ガレンへと向かう前に、列車はチューリヒ中央駅で9分間停車し、中央駅から折り返し走ってきた方向へとまた戻る。チューリヒ中央駅は終端駅だからだ。しかし、「直径ライン」を建設することによって、特急列車だけでなく短距離列車も走行時間を短縮できるようになる。

 「直径ライン」の建設は三つのプロジェクトで構成されている。まず、列車を中央駅から走行方向を変えることなく、エリコン(Oerlikon)駅まで走らせるために必要なワインベルク(Weinberg)トンネルの建設。次に中央駅に到着した列車がそのまま進行方向に走ることができるよう、地下16メートルの位置に通過可能な駅を建設。さらに、中央駅から西に向けて既に建設されている線路の上部に、それと平行して新しい高架橋を建設するプロジェクトだ。

 30本の柱を使用した高さ約20メートル、総長1.5キロメートル以上の巨大な高架橋はチューリヒの街並みに特別な印象を与えるだろう。列車から眺める街の景色は格別に美しいに違いない。

ジュネーブに新しい線路の建設

 毎日延べ500本の列車が出入りするジュネーブのコルナヴァン(Cornavin)駅も収容量が限界に近づいている。2017年には、100年前から計画されている、ジュネーブからフランスのアンヌマス(Annemasse)までをつなぐ全長16キロメートルの路線(CEVA)が開通する予定だ。

 「コルナヴァンからアンヌマスまでの接続路線が開通すると、コルナヴァン駅の線路は満杯になる」とスイス連邦鉄道の広報担当レト・コールマン氏は語る。スイス連邦鉄道は2030年までにローザンヌ-ジュネーブ間の輸送客収容力が倍増すると予想している。「列車の本数を増やすだけでなく、列車が停車したり、乗客が乗り降りしたりするためのプラットホームを増やす必要がある」

居住空間の損失に対する反対意見

 利用客増加に伴い、スイス連邦鉄道はコルナヴァン駅にさらに線路を2本、プラットホーム1つを建設することを計画している。今現在の計画状況によると建設開始は早くて2020年だ。しかし地域の住民はレールの拡張計画に反対している。150世帯のアパート住民が立ち退かなければならないからだ。住民はレール拡張の代わりにトンネルを建設し、地下プラットホームを拡大するよう要求している。

 しかし、スイス連邦鉄道はこの案を拒否。レール拡張は9億フラン(約733億円)で済むが、トンネル建設には17億フラン(約1385億円)とはるかに高い建設費用がかかるためだ。

建物の内側だけを改装

 コルナヴァン駅入り口の建物の改築工事は既に進められている。しかし、その建築物は文化財として保護されているため、外壁には触れず、2段階に分けて改築工事が進められる。初期の工事は既に2011年8月に終了。次の工事は2013年末に終了する予定だ。

 スイス連邦鉄道は建物の内装をモダンに改築するつもりでいる。「この建物はいかにしても時代遅れ。将来的に増加する乗客の数と流れに対応できるよう、建物も建て替える必要がある」とコールマン氏は締めくくる。

混雑する鉄道網

スイスでは乗客列車、貨物列車とも、同じ線路を利用するため、列車の走行頻度はおのずと高くなり、列車の本数を増やす余裕がほとんどない。

 

こういった問題はベルン、バーゼル、チューリヒといった大きな都市と、住宅密集地域の間で起きている。特にオルテン(Olten)-チューリヒ-ヴィンタートゥールの区間や、ローザンヌ-ジュネーブの区間、また、新アルプス縦断鉄道の区間は電車が多く乗り入れているため、線路は満杯の状態。

今日、住宅密集地域や主要路線にはかなりの頻度で列車が乗り入れているため、これ以上本数を増やすことはできない。


(独語からの翻訳、白崎泰子), swissinfo.ch



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