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ブログ「もっと知りたい!スイス生活」


さあ、新学期!〜ティチーノの学校制度


スイスの学校制度は日本と違うどころか、州によっても異なります。日本人にはちょっと分かりにくいスイスの学校制度。私が暮らすイタリア語圏ティチーノ州についてご紹介します。

中学校の教科書。教科書は全教科にはなく、先生がプリントを配布するだけの教科もあります (swissinfo.ch)

中学校の教科書。教科書は全教科にはなく、先生がプリントを配布するだけの教科もあります

(swissinfo.ch)

 長い夏休みが終わり、新しい学年が始まりました。わが家の子どもたちもぶじ進級して、ほっとひと安心。日本では毎年進級するのは当たり前ですが、息子が通っている大学進学向けの普通高校では、毎年約3分の1もの生徒が留年するのです。

 驚くことに、スイスの義務教育は小学校と中学校の9年間と決まっている以外、就学年齢も小・中学校がそれぞれ何年かなども、州によって違います。ティチーノ州の場合は、5歳就学(現在は6歳就学へ移行中)。小学校に通うのは5年間、中学校は4年間です。

美しい自然に囲まれた小学校 (swissinfo.ch)

美しい自然に囲まれた小学校

(swissinfo.ch)

 スイスの教育システムの大きな特徴は、職業教育に重点を置いていることです。早い地域では小学生の段階で、将来進む道をある程度選択しなくてはいけません。ティチーノでは中学3年生に進級するときに、その分岐点がやってきます。

 ここで生徒たちは、中学2年生のドイツ語と数学の成績結果でAとBの2つのコースに分けられます。コースはそれぞれ授業の内容が異なっていて、将来大学へ進学したい場合はAコースに入らなくてはいけません。

大学のような雰囲気の普通高校。職業訓練高校に進んでから普通高校に入り直す子も多く、年齢もさまざまです (swissinfo.ch)

大学のような雰囲気の普通高校。職業訓練高校に進んでから普通高校に入り直す子も多く、年齢もさまざまです

(swissinfo.ch)

 わが家の息子は中学2年生の秋に日本から編入したので、いきなり将来を左右する話にびっくり。とりあえずAコースに進みたいけど、どうしたらいいだろうかと校長先生に相談したところ、あっさりとこう返されました。

 「必要な能力があれば成績はそのレベルに達しますし、そうでなければBコースに進めばいいのです」

 ”目標をたてて、そこに向けて努力する” という日本の教育システムでやってきた私たちには、”能力に合った進路に進めばよい” というスイスの先生の答えは、かなり大きなカルチャーショックでした。

中学校の地理のテスト。日本と違い、主に記述で答えさせる内容(ちなみに赤チェックは正解の意味で、バツだらけの答案ではありません) (swissinfo.ch)

中学校の地理のテスト。日本と違い、主に記述で答えさせる内容(ちなみに赤チェックは正解の意味で、バツだらけの答案ではありません)

(swissinfo.ch)

 高校は、総合大学への進学を目的とした普通高校と、銀行職やエンジニア、料理人など職業別の職業訓練高校があります。学校の数も進学者数も職業訓練高校の方が圧倒的に多く、普通高校に進学するのは全体の2〜3割程度。スイスの子どもたちは、中学を卒業する時には将来の職業までほぼ決めるのです。

 しかし、これも最近は少し変わってきています。ティチーノでは、高校の進学先は中学の最終成績と本人の希望で決めるため、成績が進学条件を満たしているからとりあえず、と普通高校に進む子が年々増えています。また、親が大学進学を望んでいるから、というケースも多いと聞きます。

 さまざまな考えの上で普通高校を選ぶ子も多いですが、そうでない子も少なくない。そんな現状もあって、毎年たくさんの学生が留年し、生徒の教育に多額のお金がかかる(高校の学費はすべて税金)ことが問題になっています。

 子どもがまだ通学中のわが家としては、人ごとではない問題。今年もハラハラしながら、しっかり頑張って・・・と祈ることになりそうです。 

奥山久美子

プロフィール:奥山久美子

神奈川県生まれ、福岡県育ち。都内の大学を卒業後、料理や栄養学を扱う出版社に就職。雑誌、書籍の編集業務に携わる。夫の転職に伴い、2012年からイタリア語圏ティチーノ州に住む。日本人の夫、思春期の息子2人の4人家族(+日本から連れてきた猫1匹)。趣味は旅行、読書、美味しいものを見つけること。



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