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ブログ「もっと知りたい!スイス生活」


スイスのお家ご飯に(無理矢理)よんでもらいました (その1) インゲ、今を生きる75才


スイスで暮らし始めた頃 「How to survive in Switzerland」という本を読んだ。その著者であるアメリカ人 によると、スイス人にお茶によばれるまで5年、食事なら10年かかるとあった。当時は「へ〜!」と驚いたのだが、26年に及ぶ私のスイス暮らしを振り返ってみると、確かに希なのである。ご飯にはさんざんよんでもらったが、スイス人の友人からの招待は実際かなり少ない。スイス人口のほぼ4分の1が外国人で、しかも私は住人の半分以上が外国人であるジュネーブに長年住んでいたことを考慮しても、1割にも満たないのではないか? それって、 すっごく少なくない?! と、少々悔しくもある。そこでスイス家庭の、できることなら美味しいご飯によんでもらって、その貴重な経験を読者の皆さんとシェアしようと思い立った。

 最初に白羽の矢が立ったのは、最近知り合いになったご近所の インゲだ。

インゲ、テラスにて (swissinfo.ch)

インゲ、テラスにて

(swissinfo.ch)

 インゲは今年75才になる。熟年と呼ばれる頃に離婚した。「思いもかけないことだったけど、離婚のお陰で私の人生がぱ〜っと開けたのよ」、と笑顔でおっしゃる。前夫の事業に関わっていたとはいえ、母親と妻として家族に尽くすことが彼女の生活だった。それが、離婚と同時に新しい人々との出会いが続き、彼女の世界が大きく広がった。 以来、コーディネーターとして映像作家と組んで映画を 創ったり、ランド・アート写真家の撮影現場アシスタントを勤めたりしている。とにかく好奇心旺盛で人なつっこい人なのだ。

牛乳缶ランド・アート撮影現場 (Gérard Benoit à La Guillaume)

牛乳缶ランド・アート撮影現場

(Gérard Benoit à La Guillaume)

 そんなインゲはどんなご飯を作ってくれるのだろう?ワクワクしながら彼女の家に続く坂道を春の雲に導かれて上った。昼食にはインゲの孫、ジョナスさんも一緒だった。というより、ジョナスさんとインゲのいつもの昼食に私がお邪魔した、という方が正しい。スイスでは昼食を家で家族と摂る人が結構いる。子供達も学校から戻ってくる。ジョナスさんも月曜日と水曜日は インゲの家で食べるそうだ。

インゲと孫のジョナスさん (swissinfo.ch)

インゲと孫のジョナスさん

(swissinfo.ch)

 気になるお料理は、なんとアジア風の鶏手羽料理。 ジョナスさんの好物だそうだ。手羽は醤油やショウガを入れたピーナッツソースに漬け込んでからオーブンで焼いてある。付け合わせはこちらの人が「中国野菜」と呼ぶモヤシやキクラゲ、サヤエンドウのミックスに、フライパンで炒めた茹でジャガイモ。密かにスイス料理を期待していた私は、少々拍子抜けしたが、こっちの方が美味しかったかも、という安堵感もあった。 スイスのチーズやチョコレートは確かに美味しい。白ワインもジャガイモも美味しい。でも、それだけ、なのである(これはモチロン私の個人的な意見です、あしからず)。

主菜の鶏手羽料理 (swissinfo.ch)

主菜の鶏手羽料理

(swissinfo.ch)

 デザートのフルーツ・サラダは一見フツーだが、隠し味の 干しマンゴーとインゲが育てたレモンの皮のお陰で芳香豊か。一口ごとに南国の風が吹くようだった。

フルーツ・サラダ (swissinfo.ch)

フルーツ・サラダ

(swissinfo.ch)

 ところで、彼女の話を聴きながら意外なことが分かった。ナント、彼女はスイス人ではなく、ドイツ人だったのである!スイスのお家にご飯に呼んでもらうのがこのブログの趣旨だったのだが・・・。しかしインゲは長年スイスに暮らし、スイス国籍も持っている。ここは第一回目のご愛敬「ま、いっか」とお見逃し願うしかない。

 インゲは1941年、第二次世界大戦の真只中、ドイツのエッセンに生まれた。遅く授かった一人っ子で、両親にたいそう愛されて育ったそうだ。私はインゲのお父上が書かれた「インゲ、思い出の記」を読ませてもらったが、会ったこともないその人の優しい声が聞こえてくるようだった 。懐かしい両親のことを語りながら、インゲは泣き出してしまった。彼女の目から サワサワと 涙がこぼれた。

 インゲはついこの間まで前夫から引き継いだ建築会社の会計から事務全般までこなしていたが、今はもっぱらアーティスト・コーディネーターとして忙しくあちこち飛び回っている。「夢は何?」と尋ねると、「人類の夢?私の夢?」と問い返された。私は人類の夢など考えたこともない。インゲの世界は果てしなく広い。ちなみに自分の夢は無いのだそうだ。「毎日が楽しくて、それで十分だから」

インゲと愛犬ディンガ (swissinfo.ch)

インゲと愛犬ディンガ

(swissinfo.ch)

 こんな素敵なおばぁちゃまとお友達になれて嬉しい。又、ご飯に呼んでね。

麓絵里(ふもとえり)

プロフィール:麓絵里

大阪生まれ、奈良育ち。1990年よりスイス在住。証券会社、新聞社、製薬会社勤務を経て現在、創造性やグループ・インテリジェンスを育てるコーチ、ファシリテーター。コーチング・メンタリング修士(Oxford Brookes University)、PMP (Project Management Professional)、Time to Think Ltd. (UK)  Facilitator. 

 



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