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ブログ「もっと知りたい!スイス生活」


マリリスのへーゼルナッツタルト


スイスには男女を問わず、お得意のお菓子のレシピを持っている人がたくさんいるのですが、彼らに聞くとたいてい、「ママのレシピ」と返ってきます。そんな家族で長く受け継がれてきたレシピの一つ、私が大好きなご近所のおばあちゃんマリリスのヘーゼルナッツタルトをご紹介します。

マリリスのヘーゼルナッツタルト。素朴な見た目に反して、柔らかで風味豊かな味わいです (swissinfo.ch)

マリリスのヘーゼルナッツタルト。素朴な見た目に反して、柔らかで風味豊かな味わいです

(swissinfo.ch)

 マリリスのヘーゼルナッツタルトを初めて食べたのは、仲間内の持ち寄りパーティのときでした。さくさくのパイ生地に粗挽きのヘーゼルナッツがたっぷり。爽やかなレモンとシナモンの風味がしっかりきいています。素朴でシンプルながら滋味豊かな味わいに、感動しました。マリリスが作るこのタルトは、彼女が生まれ育ったフランス語圏ヌーシャテルのもの。同じ名前のケーキがここイタリア語圏ティチーノにもありますが、こちらはバターや小麦粉をたっぷり使い、ふわふわやわらか。ナッツの美味しさを凝縮したようなマリリスのそれとはまったく別物です。

マリリスが生まれ育ったヌーシャテル州の小さな村ブッテス (swissinfo.ch)

マリリスが生まれ育ったヌーシャテル州の小さな村ブッテス

(swissinfo.ch)

 ヘーゼルナッツタルトはヌーシャテルの伝統的なお菓子の一つで、現存する一番古いレシピは1800年ごろにさかのぼるそうです。当時はアーモンドの粉で作られていましたが、1900年の始め、戦争のためにアーモンドが高騰し、困ったパン屋さんが、そこら中で拾えたヘーゼルナッツで作り始めたのだとか。ヌーシャテルでは、お祝い事など、ちょっと贅沢なデザートに欠かせないものだったと聞きます。マリリスの旦那さんも、初めてこのタルトを食べたのは、婚約者として彼女の家に挨拶に訪れたときでした。イタリア語圏出身で、バターや小麦粉のふわふわしたケーキに慣れていたご主人は、マリリスのお母さんが出してきたこのペタンコで茶色いタルトを見て、なんて貧しいケーキなんだろうと思ったそうです。しかし以来50年、マリリスは2人の結婚生活で数えきれないほど、家族のためにこのタルトを焼いてきました。今はご主人も、そして2人のお子さんも、大好きなママの味だと言います。

マリリスとその家族。前列右側、白いネックレスを着けているのがマリリスです (swissinfo.ch)

マリリスとその家族。前列右側、白いネックレスを着けているのがマリリスです

(swissinfo.ch)

 本で見るヌーシャテルのヘーゼルナッツタルトのレシピは、泡立てた卵白を使い、ふわっとした食感に仕上げるものが多いようですが、マリリスは卵とナッツをざっくり混ぜ合わせるだけ。私もヘーゼルナッツの美味しさがぎゅっと詰まったマリリスのレシピが断然好きです。このレシピ、実は彼女のおばあさんのもの。70歳を超えるマリリスのそのまたおばあさんですから、ゆうに100年以上経っているレシピ。現在はマリリスの息子のお嫁さんが引き継いで、折々に家族を楽しませています。おばあちゃんから孫へ、さらにひ孫へと続くマリリスのレシピ、ぜひお試しください。

ざっくりしたお菓子ですから、分量は少しくらい大雑把でも大丈夫。シナモンやレモン、砂糖の量は好みで増減して楽しんでください (swissinfo.ch)

ざっくりしたお菓子ですから、分量は少しくらい大雑把でも大丈夫。シナモンやレモン、砂糖の量は好みで増減して楽しんでください

(swissinfo.ch)

マリリスのヘーゼルナッツタルト

<23cmのタルト型1台分>

冷凍パイシート:300g

ヘーゼルナッツプードル:225g

卵:3個

レモン:1個

砂糖:150g

シナモンパウダー:大さじ11/2杯

粉砂糖:100〜150g

 

1.パイシートはやわらかくなるまで常温におく。型より一回り大きく麺棒で伸ばし、タルト型に敷き込む。フォークなどで底に穴を所々開ける。

2.レモンは皮をすりおろす。半分に切って、半個分だけ果汁を搾る。

3.ボールに卵と砂糖入れて、泡立て器で砂糖がとけるまでよく混ぜる。ヘーゼルナッツプードル、レモンの皮を順に加えては混ぜる。ゴムベラに持ち変え、シナモンを加えてよく混ぜ、1に流し入れる。

4.200℃のオーブンで30分焼き、180℃に温度を下げて10〜15分焼く。オーブンから出して型に入れたまま冷ます。

5.粉砂糖にレモンの搾り汁を加えてよく混ぜ、レモンアイシングを作る。型から出したタルトの上にまんべんなく塗り広げ、完全に乾くまでしばらくおく。

 

★オーブンは200℃に予熱しておきます。

★焼いている途中で焦げそうだったら、アルミホイルをかぶせてください。

★レモンアイシングはすくったとき、とろりと流れるくらいの柔らかさを目安にしてください。

奥山久美子

プロフィール:奥山久美子

神奈川県生まれ、福岡県育ち。都内の大学を卒業後、料理や栄養学を扱う出版社に就職。雑誌、書籍の編集業務に携わる。夫の転職に伴い、2012年からイタリア語圏ティチーノ州に住む。日本人の夫、思春期の息子2人の4人家族(+日本から連れてきた猫1匹)。趣味は旅行、読書、美味しいものを見つけること。

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