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スイスの少年犯罪 麻薬の使用が4割

未成年犯罪者に対する判決で、禁固刑が科されるケースはごくわずかだ Keystone

スイスでは昨年、裁判所で裁かれた少年犯罪のうち、麻薬の使用が4割を占めた。有罪判決が確定した未成年の数は前年比で2ポイント減少。そのうち3分の1は社会奉仕活動を命じられた。スイス政府が6日、発表した。

 連邦統計局の報告によると、昨年、有罪判決を受けた未成年は1万2100人で、2011年以降続けて減少傾向にある。一方で、有罪判決を受けた成人の数は未成年の数に比べて9倍だった。

 有罪判決を受けた未成年の犯罪の多くは麻薬の使用によるもので、全体の42%。窃盗や器物損壊などの財産犯が続く。

 連邦統計局によると、有罪判決の数が減少した理由は犯罪件数自体が減ったためだが、麻薬の売買や使用件数は増加が見られた。

刑罰を巡り議論

 犯罪を行った未成年に対し、刑罰を科すか、または更正を支援するかを巡ってここ数年議論が起きている。スイスでは「保護し、教育する」という点が重視されるが、例えば米国では、未成年犯罪者をどうやって社会復帰させるかという点が強調されている。

 未成年犯罪者に対する刑罰としては、これまでと同様に社会奉仕活動が多く、判決の36%を占めている。内容としては、清掃作業や講習などの受講が含まれる。

 警告や罰金刑を受けるだけの未成年も多い。刑務所に収容されたケースは全体のわずか7%で、国際平均の10%よりも低い。

 スイスでは、刑事責任能力が問われる年齢は10歳からとなっている。

(英語からの翻訳&編集・由比かおり、鹿島田芙美)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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