欧州国連本部ジュネーブ 人権理事会 米新政権や金正恩政権下で、後退しかねない人権への取り組み




第34会期人権理事会で演説をするグテーレス国連事務総長。ジュネーブの国連欧州本部で27日に撮影。

第34会期人権理事会で演説をするグテーレス国連事務総長。ジュネーブの国連欧州本部で27日に撮影。

( KEYSTONE / SALVATORE DI NOLFI)

トランプ新政権や金正恩政権の動きが、27日からスイスのジュネーブで開催されている国連の人権理事会で注目を浴びている。国際的な人権問題に対する取り組みが後退するとの懸念があるからだ。それと同時に、改めて人権理事会の仕組みの弱点が浮き彫りとなっている。

米国、 人権理事会を離脱か?

 27日から始まった人権理事会に出席する米国。即時に同理事会から脱退する様子はないものの、米国の政治報道機関ポリティコ(Politico)は25日、「トランプ政権は国連人権理事会からの離脱を検討している」と伝えていた。人権理事会の存在に対し「懐疑的」だからだ。中国やサウジアラビアといった人権を侵害する国が人権理事国となっていることや、理事会での議論がイスラエル非難に偏向したりしていることをその理由として挙げている。

 このことに関して 、ジュネーブの国際機関スイス代表部で人権担当のヴァレンティン・ツェルヴェガー大使は、「結論を出すには時期尚早だが、この政権は今のところ予測不可能。しかし、注意すべきだ。移行の一環初期には、まず不確定があるものだ」とスイスインフォに語る。

 そうした背景の下、ゼイド・ラアド・アル・フセイン人権高等弁務官は27日、人権理事会初日の冒頭演説で、「国際連盟の時代のように、多国間システムを脅かすか、あるいはそこから脱退しようとする政治指導者には、歴史が警鐘を鳴らすはずだ」「私たちの権利、他の人の権利、地球の未来は、これらの無謀な政治家の脇に投げ捨てられてはならない」と主張した。

法的拘束力のない勧告

 一方、今会期の人権理事会で他にも注目されているのが、北朝鮮の人権問題。韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が、ジュネーブの人権理事会に急きょ出席し、2週間前に起きたマレーシア空港での金正男(キムジョンナム)氏殺害事件も引き合いに出し、北朝鮮を非難した。演説で尹外相は、「これらすべての行為は、北朝鮮が当事者となっている様々な国際人権法規の重大な違反に当たる。これはルールに基づいた国際秩序への挑戦でもある」と発言した。同外相は、北朝鮮での人権侵害に対する責任訴追を国際社会に求め、「国際刑事裁判所(ICC)に持ち込むべきだ」とも理事会で訴えた。

 日本や欧州連合が共同で、北朝鮮の人権侵害を厳しく非難する決議案を提出する予定だが、人権理事会の勧告や決議案は法的拘束力がないため、国際刑事裁判所で訴追する動きが見られる。

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