イタリアは脱税調査の一環で、スイス税務当局に対し、2015、16年時点におけるUBS銀行のすべてのイタリア人顧客情報を開示するよう要請した。
このコンテンツが公開されたのは、
昨年12月6日付でスイスの税務当局に提出されたもの。スイス連邦政府は6日付の官報外部リンクで公表し、当事者は異議申し立てができるとした。
外国の税務当局からこうした要請を受けることについて、スイスでは賛否が分かれる。しかし最高裁にあたるスイス連邦裁判所は先月、フランスから同様の要請を受けたUBSに対し、データの引き渡しに応じるべきだとする判決を出した。
この判決により、イタリアの要請も認められる公算が大きくなった。UBSはスイス通信に出した声明で、同行は欧州諸国の納税義務および国際基準に準拠するとコメントした。
しかし、イタリアの要請は2015年2月から2016年末までが対象で、スイスと欧州連合(EU)が脱税を阻止するため締結した自動的情報交換制度(AIE、2017年発効)より前となる。このため今後の手続きがどうなるかは未知数だ。
現時点で複数の国々がスイスに対し納税に関するデータの引き渡しを要請している。その中にはイタリアが以前要請したクレディ・スイスの顧客約1万人分のデータも含まれる。
続きを読む
おすすめの記事
スイスフラン相場に上昇圧力 介入観測が浮上
このコンテンツが公開されたのは、
米中貿易戦争がスイス経済に暗雲をもたらしている。投資家心理が下向き、安全通貨であるスイスフランに資金が流入している。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がフラン高の抑制に動き出すのかどうか、注目が集まっている。
もっと読む スイスフラン相場に上昇圧力 介入観測が浮上
おすすめの記事
スイス 武装した永世中立国 −3− 海外派遣
このコンテンツが公開されたのは、
現在、世界の31カ国と地域に派遣されているスイス兵は、スイス中部スタンツにあるSWISSINT(Swiss Armed Forces International Command)で養成される。現地の状況を模倣した兵舎にて…
もっと読む スイス 武装した永世中立国 −3− 海外派遣
おすすめの記事
スイス最高裁、仏当局へのUBS顧客データの移転を承認
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所は、スイスの銀行UBSの約4万人の顧客に関するデータをフランスの税務当局に引き渡すべきであるとの判決を下した。この決定は、顧客の情報を口外しない秘密主義を守ってきたスイスの銀行業界にとって大きな意味を持つ。
もっと読む スイス最高裁、仏当局へのUBS顧客データの移転を承認
おすすめの記事
スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行は顧客の情報を国家権力にも明かさないことで知られ、世界中から資産を集めて金融国家にのし上がった。そのスイスが今、日本の経済界を揺るがした大スキャンダルの捜査協力に乗り出している。秘密主義の看板は10年前に下ろされたが、スイスの秘匿体質は本当に変わったのか?
もっと読む スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
おすすめの記事
巨大IT企業への課税、スイスに痛手か
このコンテンツが公開されたのは、
多国籍企業が税制上の抜け穴を利用した課税逃れを防止するため、国際的な課税ルールの抜本的な改革が急ピッチで進められている。6月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でも、巨大IT企業への「デジタル課税」ルールが焦点の一つになった。ただ、低税率で多国籍企業を誘致してきたスイスは、国際課税ルールの強化で大きな痛手を受ける可能性がある。
もっと読む 巨大IT企業への課税、スイスに痛手か
おすすめの記事
スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)が、国際的な不正取引に関わったとして金融当局の勧告処分を受けた。ただ営業停止や罰金などの処分がなかったことに首をかしげる専門家もいる。
もっと読む スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。