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アフガンで援助活動を続ける赤十字国際委員会現地職員

同時多発テロの黒幕と目されるオサマ・ビンラディン氏を匿っているとされる、アフガニスタンのタリバン政権。米国のタリバンに対する報復攻撃が予想されため、国連やNGOの外国人援助職員はアフガニスタン退避を余儀無くされている。16日パキスタンのペシャワールに逃れた赤十字国際委員会(ICRC。本部ジュネーブ)職員が、swissinfoに現地の高まる緊張と山積する懸念を語った。

「何が起こるのか全くわからないため、人々は脅えている。」とマリオ・ムサICRCアフガニスタンのスポークスマンはいう。米国が、同時多発テロの総指揮者と名指しするオサマ・ビンラディン氏を支援するアフガニスタンのタリバン政権に対して何らかの形での軍事攻撃を行う可能性は、高まる一方だ。ICRCは16日、タリバン政権が職員の安全を保障できないと明言したことから、アフガニスタンに残っていた15人の職員を国外に退避させ、かねてからアフガン支援の拠点として機能してきたパキスタンのぺシャワールに移した。ICRCはアフガニスタンで世界最大規模の活動を展開しており、米国がいかなる攻撃を行おうとも中核となる管理システムは維持する決意を固めている。「アフガニスタンには1000人の現地職員がいて、今も活動を続けている。彼等との連絡は毎日とっている。彼等は、こんな時こそ活動を続けることが大切だと信じている。」とペシャワールから伝えるムサ氏は、ICRCは現在医療活動に集中していると語った。

同じくジュネーブに本部を置く国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)によると、カブール、カンダハール、ジャララバード等の大都市からは住民が続々と避難を始め、タリバンの拠点である南部の都市カンダハールは半分空になった。住民らは、援助物資を届けるのが困難な故郷の山岳地帯の村落へ逃れるか、すでに何万人ものアフガン難民が流入した隣国のパキスタンやイランに逃れている。

ムサ氏は現地に残る職員からの報告として、緊張が高まる中でもアフガン国民らは冷静だという。「アフガン国民の忍耐には驚嘆する。長年の内戦で何度も酷い状況をくぐり抜けて来たからでしょう。が、今回は何が起こるのか全く分からないという点が、今までと大きく異なっている。確実に何かは起こるが、何時、どこで、どのように生命に危険が及ぶのか分からない。」とムサ氏は語る。

ムサ氏によると、ICRCの外国人職員も可能な限り早くアフガニスタンに戻りたいと熱望している。彼等の願いがかなうかどうかのカギを握るのは、パキスタン国内のイスラム過激派が、パキスタン政府の米国タリバン攻撃支援に対してどう反応するか、という事も含まれている。「ぺシャワールでは、緊張が高まる一方だ。」と、ムサ氏は述べた。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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