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サッカー、対日本でスイス惜敗

3点の失点につながったと批判されたベラミ選手 EQ Images

オーストリア、 クラーゲンフルト ( Klagenfurt ) で9月11日行われた、サッカー、スイス対日本の3大陸トーナメントの親善試合でスイスは接戦の末、3対4で敗れた。

来年にスイスとオーストリアの共同で開催される欧州サッカー選手権「EURO2008」まで、スイスチームにはまだまだ大きな課題が残されている。

 試合開始後10分で、スイスチームキャプテンのルドヴィク・マニア選手がペナルティーで1点を獲得。その後、再びペナルティーでブレーズ・クフォ選手が2点目を挙げ、調子付いたスイスチームだった。

真剣さに欠けた?

しかし、後半の53分、スイス側のペナルティーで中村俊選手がゴールを決めた後、スイスチームはすっかり日本の速いペースに巻き込まれてしまった。3対3の引き分けでゲーム終了かと思わせたが、91分に矢野貴章選手が決勝ゴールを決め、スイスチームが負けた。

日本とスイスが対戦するのは14年ぶり。前回の試合は1対1の引き分けに終わっている。ゲームの前日、スイス・ドイツ放送のインタビューに答えたクビ・クーン監督は、日本チームを「未知のチームであり、過小評価できない。何しろ日本人は1億3000万人もいるのだから、その中から優秀な選手が出てくることは想像できる」と語り、勝負には真剣に挑む姿勢を見せた。

 しかし、選手のゲームに挑む姿勢は監督の意を汲んでいなかったようだ。キャプテンのマニア選手は試合終了後「負けた理由などない。100パーセントゲームに集中しなければ勝てないのに、われわれは99パーセントだったから4点取られた」と厳しく自己反省した。キャプテンの痛恨がEURO2008におけるスイスチームの活躍へつながるかどうか。残された270日間の練習に大いに期待したい。

厳しいメディアの評価

 今回の3大陸トーナメントにおける対日本戦をスイスは、EURO2008の力試しと受け止めている。スイスのメディアもこのゲームを取り上げ、「スイスチームの実力に不安がある」と厳しい。12日早朝のスイスドイツ語放送は「屈辱的敗戦」と、最後に1点取られたことを指摘。「EURO2008から1歩後退したが、今後の練習次第では期待できないというわけではない」とした。

 ドイツ語圏の日刊紙ノイエ・ツルヒャー・ツァイトゥクングは「日本のサムライによるトリックにスイスチームは負けたようなものだ。スイス選手は転倒したり、魔術で眠らされ、敵はその隙を狙って点を挙げた」と日本チームを神秘的と捉えている。

 フランス語圏の日刊紙トリビューン・ド・ジュネーブは3点失点につながったヴァロン・ベラミ選手のファウルなどを厳しく批判した上で「しかし、敗戦はチーム全体の責任だ。勝ったと思うゲームでも、最終的には力尽きてしまうというスイスチームの歴史の繰り返し」とチームの弱点を指摘した。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

ゴール経緯 
11分 ルドヴィク・マニア スイスPK
13分 ブレーズ・クフォ スイスPK
53分 中村俊輔 日本 PK
68分 巻誠一郎 日本
78分 中村俊輔 日本 PK
81分 ヨハン・ジュル スイス
92分 矢野貴章 日本

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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