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スイス政府、コソボ難民本国送還の延期を決定

スイス政府は、コソボ難民の本国送還期限を従来の5月31日から8月31日に延期すると決定した。

スイス政府は、コソボ難民の本国送還期限を従来の5月31日から8月31日に延期すると決定した。

コソボ難民の本国送還延期は、連邦政府と州政府による4日の難民収容会議で合意に達した。ルス・メツラー司法・警察相は、「難民らが致命的な危険に見舞われるとは思われないが、危険の可能性を否定することはできない。コソボの状況は日々変化しており、8月末に再調査した上で送還を検討する。」と発表した。

が、延期の影響を受けるのは数百人に過ぎず、大多数の難民は5月31日までにスイスを自発的に去るか強制送還される運命にある。現在スイス国内には16、500人のコソボ難民が滞在許可期限を過ぎても残留している。

いくつかの州政府は、期限の延期がシングルマザー、孤児など弱者に対する配慮によって決定されたのではないことに不満を表明している。フリブール州のルス・ルエティ社会福祉主事は「政府はコソボで生き延びられそうにないこれらの弱い立場の人々を送還しないよう、慎重に対処してもらいたい。」と弱者グループ救済策を要請している。それに対し連邦難民局は「グループ救済策はかえって不公平な結果を招く。女性、年輩の女性を弱者と決めれば、年輩の男性はリストから漏れる。従って、弱者救済は個々に審査されるべきだ。」と反論する。また政府は、スイスで職業訓練コースや実習を始めた若者達は終了するまで残留を認め、学齢に達している子供のいる家族は夏休みまで残留を認めた。

が、本国強制送還の原則は決定されたわけで、今後は実施にあたる詳細を検討していかなければならない。本国送還を実行するのは、州だ。連邦政府は実行の意志がないことを明白にしてしまった。「これは難民局の仕事ではない。難民の誰がどこにいるか等具体的な事を知っているのは州政府だ。州政府に支持するのはベルンの官僚の役割ではない。」とジャン=ダニエル・ゲルバー難民局長は言う。現在のところ、7月以降毎週50から100人のコソボ帰還用のフライトが抑えてあると、メツラー司法・警察相としては言えるだけだ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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