スイスの視点を10言語で

スイス長者番付発表

スイス1の金持ちエルネスト・ベルタレッリ氏 Keystone Archive

経済誌「ビランツ」の2001年スイス在住(国民ではない)長者番付が発表された。スイスに住む大富豪トップ300の資産総計は3900億スイスフランで、昨年より300億スイスフラン(180億ドル)減少したが、同情を寄せる国民はいない。

今年の1位はジュネーブのバイオテク企業「セロノ」のエルネスト・ベルタレッリさんで資産額130億から140億スイスフラン。セロノ株が3割安に下がったものの、昨年のロシュ一族と分け合った同点1位から今年は単独トップに輝いた。一方、ビランツ誌の編集者ゲルド・レーラー氏によると、今年最大のルーザーは製薬会社ホフマン=ラ・ロシュ(本社バーゼル)の創業経営者一族で、50億から60億スイスフランを失い4位に転落した。それでもアーリ、ホフマン、ザッハー一族の資産は100億から110億スイスフランだ。2位はテトラパック製造のロイジン一族で、3位は家具のIKEA創業者スウェーデンのイングバール・カンプラド氏(資産110億から120億スイスフラン)。

今年新たに長者番付デビューしたのは30人。その1人、世界5位の船舶所有者ジャンルイジ・アポンテ氏(20億から30億スイスフラン)は、会社をスイスに置く理由を「平和で安全だから」としている。他の新人富豪は、米ポップシンガーのシャニア・トウェイン、独セックスショップ「Beate Uhse」チェーンの会長ウルリッヒ・ロータームンド氏など。また、右派人民党のタカ派連邦議会議員クリストフ・ブロッハー氏も20億から30億で番付入りを果たし、米出身のスーパースター、ティナ・ターナーは意外にもブロッハー議員の10分の1の資産でランク入りした。

一方、消えた人々は、ソフトウェアThink Toolsの筆頭株主アルブレヒト・フォン=ミューラー氏(昨年の7億スイスフランから今年3000万スイスフラン)、機械製造Schweiter会長ハンス・ウィドマー氏(昨年5億スイスフランから今年3800万スイスフラン)の損失が際立った。

これら大富豪300が、この国の資産の20%以上を占めている現状をビランツ誌のレーラー氏は「民主主義にとって問題だ」という。「国民の3%の資産が、残りの97%の全財産と同額などというのは、民主社会として異常だ。」とレーラ氏はいう。

スイスの大富豪が住んでいるのは、チューリッヒ、ジュネーブ、ヴォーの3州にほぼ集中している。一方、アッペンツェル=アウターローデン州とユラ州には、1人もいないという結果が出た。住民の失業率最多がジュネーブ州(平均4%以上)、最少がアッペンツェル州(平均0.2%)という庶民の状況との対比が興味深い。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部