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チュニジアサミットへの期待と不安

スイス代表団を第1回目のジュネーブサミットから率いるマーク・フーラー氏 Keystone

11月16日から18日までチュニジアのチュニスで行なわれる第2回世界情報社会サミット(WSIS)を前にスイス代表、情報通信委員会のマーク・クーラー氏に話を聞いた。

フーラー氏はチュニジアサミットで話し合われるインターネット管理問題やチュニジアでの言論の自由の問題などについて語ってくれた。

 マーク・フーラー氏は国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)がジュネーブで主催し、2003年2月に行なわれたジュネーブサミット以来、その動向を追い続けている。

 第1回目のサミットはスイスがホスト国として大きく力を入れ、フーラー氏もスイス代表として行動計画や基本宣言の交渉に活躍した。同氏は準備会合(WGIG)のスイス代表団の責任者でもある。

swissinfo : ジュネーブサミットでホストを務めたスイスにとって、第2回目のチュニジアサミットは何を意味しますか。

フーラー : この世界情報社会サミットを2段階に分けて主催することを決めたのは国連とITUであって、スイスではありません。確かに通常なら、こういった国際会議は1回で終わり、その後にフォローアップの会議があります。

ですから、WSISの力量を測るにはこの2つの段階を考慮しなければなりません。そして、ジュネーブサミットの政治的な基本宣言の採択が大変に肯定的なものとなったため、チュニジアサミットも成功に終わることが重要でしょう。

swissinfo : チュニジアサミットへのスイスの貢献は何でしょう。

フーラー : チュニスではスイスは準備運営には一切参加しません。他の参加国と同じです。しかし、第1回WSISのホスト国として名誉パビリオンを与えられました。

しかし、それでもジュネーブで始まったプロセスが成功に終わることに責任を感じているためにジュネーブでの開催に携わった数人を「助っ人」にチュニジアのWSIS事務局に送り込みました。何故なら、運営面においてもチュニジアサミットが成功するためにジュネーブでの経験が役に立てばと願っているからです。

swissinfo : チュニジアサミットで最も重要な議題は何でしょうか。

フーラー : 多分、インターネット管理問題を解決するのが最も難しいと思います。もう一つ、繊細な問題に人権問題と公的自由(言論・信教・結社の自由)問題があります。多くのNGOがホスト国チュニジアがこれらの権利を尊重していないと非難しています。

swissinfo : チュニジアサミットが失敗に終わる可能性はありますか。

フーラー : チュニジアサミットを成功させることは難しいと思います。インターネット管理問題については米国の強硬な態度をみるとチュニジアで解決するとは思いません。

人権問題もチュニジアサミット成功の鍵となっています。それでも、この件についての話し合いが挑発的な態度で行なわれないことを願っています。チュニジア政府が国連のルールを守る術策を取ることも重要です。国連のルールではどんな参加者でも言論の自由を保障していますから。

一方、このサミットがチュニジアの人権問題に摩り替えられてしまわれるような事がないように願っています。つまりはNGOなどの市民社会が「論戦」よりも「交渉」を優先するようにと。


swissinfo 聞き手、フレデリック・ビュルナン、 屋山明乃(ややまあけの)意訳

<世界情報社会サミット/WSIS>

国連の専門機関、ITUが主催する第2回世界情報社会サミットは2005年11月16〜18日にチュニジアのチュニスで開催される。

チュニジアサミットではジュネーブでの第1回世界情報社会サミットで採択された基本宣言、行動計画の実施について、またジュネーブサミットで十分に話し合う事のできなかったテーマを中心に扱う。

チュニジアサミットでは特にインターネットの管理問題、南北のデジタル格差を解消する資金調達制度や言論の自由について話し合われる。

- チュニジアサミットではサムエル・シュミット大統領がスイス代表団を率い、開会式に出席する予定。その後、モリッツ・ロイエンベルガー通信大臣が引き継ぐ。

- スイス代表団は情報通信社会の重要性を強調するとともに「人権の尊重」、「言論の自由」や「メディアの独立」といったテーマも重視している。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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