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再考求められる水資源管理

3月22日は国連水の日。連邦水・地質局は「水の日」に、スイスの水資源管理と老朽化する浄水処理施設に対する懸念を表明し、欧州の水源国として意識の再考を求めた。

ロルフ・ワイガルナー・ベルン大学教授は、スイスの水質汚染の主犯格は肥料として用いられる硝酸塩だと指摘しながら、「国内で化学肥料に使用許可されている化学物質は約400ある。これらの化学物質が人体や水質にどのような影響を与えるか断定できないことが問題だ。」という。ブルーノ・シェドラー連邦水・地質局水源管理部長によると、従来の浄水処理プロセスでは取り除くことが極めて困難な新しい化学物質や薬品が増えてるという。さらにシェドラー部長は、老朽化した浄水施設も水質汚染と淡水魚減少の原因の一つと指摘した。シェドラー氏は、スイスの河川の90%はダム、運河、地下水路で人工的に方向づけをされており、水路の自然な機能が著しく損なわれているという。

水資源が豊富なスイスは近隣諸国の供水源だ。オランダの水道の20%はライン川のスイス領内集水域が水源だが、そのラインを流れる水の50%はスイスの山脈が水源だ。シェドラー水源管理部長は、スイスは下流に行く水量にもっと注意を払うべきだという。「将来温暖化が進み、冬は降雪が減り降雨量が増え水位が上がるが干ばつ化した夏から秋にかけては水位が下がるというようなことが起きたら、スイスを水源とする欧州主要河川の下流に位置するイタリア、ドイツ、オランダなどへの供水量が減る。すると、スイスに厳しい水量管理が要求されることになるだろう。」というシェドラー氏は、まだ現実問題となっていない今、水源国としての役割と責任を考えておくべきだと述べた。

奇しくも今年は国際山岳年。そして来年は、国連は真水に焦点をあてる。21世紀には、人類にとって、そして地球にとって、山と水がいかに貴重なものであるかを暗示しているようだ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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