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第30回ザンクト・ガレン大学マネージメント・シンポジウム

第30回ザンクト・ガレン大学マネージメント・シンポジウムが開催されている。欧州委員会のプロディ委員長、フィンランドのテレコム・ジャイアント、ノキアのオリラ会長は、同大学マックス・シュミドハイニ財団のフリーダム賞を受賞した。

第30回ザンクト・ガレン大学マネージメント・シンポジウムが開催されている。欧州委員会のプロディ委員長、フィンランドのテレコム・ジャイアント、ノキアのオリラ会長は、同大学マックス・シュミドハイニ財団のフリーダム賞を受賞した。

ザンクト・ガレン大学で行われた第30回マネージメント・シンポジウムで、プロディ委員長とオリラ・ノキア会長は、経済および社会開発の領域での貢献に対して贈られるフリーダム賞を受賞、200、000スイスフランを贈られた。(写真右プロディ委員長、左オリラ氏)

ザンクト・ガレン大学のマネージメント・シンポジウムは、ダヴォスの世界経済会議ほど有名でなく、影響力もないかもしれないが、世界のVIPが出席する。今年の大物は、プロディ委員長、オリラ・ノキア会長の他、カムドゥシュ前IMF専務理事だ。

シンポジウムは今から30年ほど前の学生運動が盛んだった頃、学生とビジネス界との建設的な対話の場として1968年に創設された。毎年のイベントの運営は、学生に任せられている。同大学のペーター・ゴメツ教授は「マネージメント・シンポジウムは、ザンクト・ガレン大学にとって最も重要なイベントの一つだ。世界の人がこの大学に集まり、時代を担うトピックを議論する。そして、それは、うちの学生に公開されている。」と語った。

今年の運営委員会代表の1人、メディア・アンド・コミュニケーションズ専攻のベティーナ・ワイルドさんは、成功の秘けつは「プロフェッショナリズムとノン・プロフェッショナリズムの混和」にあると言う。「私達は学生だが、プロの運営を目指している。先日指摘されたが、私達は、底辺の仕事からトップの仕事までする。CEOらと話しをつける一方で、机を片付ける。」

3日間のイベントには、世界の学生、学会・財界人が集合する。出席者の1人、シンガポールのテオ・チー=ヘン教育相は「スイスと同様、シンガポールの唯一の資源は人材だ。教育と訓練によって、人は知識使用者および知識創造者になる。シンガポールは、スイスの社会と人材を見守っている。」と述べた。

シンポジウムでは、その年のテーマに基づくコンペティションの入賞者3人に留学生委員会が贈る、Wings of Excellence賞がある。今年の受賞者の1人、台湾のシェ・ペイ=フーさんは、人生の様々な段階で書かれた1人の男の日記で受賞した。シェさんは「まさか受賞するとは思わなかった。おかげでスイスに来られて、欧州を探検する機会を得られ、感謝している。」と喜びを語った。

また、シェさんは授賞式で、受賞作を紹介するかわりに、新興経済におけるグローバリゼーションの悪影響を訴える演説をし「国によっては、経済を世界に開放する力がないのに、外圧によって開放せざるを得ない状況に追い込まれ、結果、多くの弊害を産む。」と訴えた。シェさんの勇気ある演説は、会場に居並ぶ世界の財界リーダーの神経をを逆なでしたかもしれない。が、それは1968年の学生の魂が死滅していないことの証明であり、シェさんの独立したスタンスは、シンポジウムの基本精神にそうものだ。


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