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鉄格子なしの刑務所実験が成功?

足首に付ける電子名札(手錠の代わり)は留置所拘束の代案の一つで居場所が確認できる。 Keystone

1987年以来、8州で始まった、刑務所外で刑の執行を試す19のパイロットプロジェクトが成功しているとスイス連邦司法局が29日に発表。

当局によるとこの留置なしの実験は拘置経費が減少するだけではなく、前科者の再犯を防ぐことができ、プロジェクトの90%は成功したという。

プロジェクトの目的

 スイスは他の西欧諸国と違って刑務所が人口過密で一杯という問題はない。従って、この実験の目的は刑を執行された者の再犯を妨ぐことと、犯罪者の刑務所経費の削減を目的として行われた。プロジェクトの成功例からいくつかの州(カントン)はこの代案を刑法制度に導入し始めたという。

3つの代案

 代案は実刑が3ヶ月から1年までの軽い判決を受けた者だけが対象で、3つのタイプに分かれる。一つは「半拘置」で普通に仕事を続けながら、刑務所から通うもので余暇も刑務所で過ごす。第二は空いている時間中に老人ホームや病院などで社会奉仕をするもので、4時間労働が刑務所での1日に当たる。第三は、足首に手錠のように電子名札をつけながら普通の生活をするというもので何処でも居場所が確認できるシステムで1999年から導入された。

長所

 刑務所で犯罪者が一日過ごすと135フラン(約1万2千円)掛かるが、実刑者が仕事に出て半日しか過ごさないと70から90フラン(約6千〜8千円)で済み、コスト削減になる。また、社会から完全に切り離されることがなく、刑期を執行後も社会復帰が簡単になると分析している。


スイスインフォ、
ジョアン・シールズとラムゼー・ザリフェ(翻訳、屋山)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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