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ぬいぐるみも登山

それから間もなく、二つの山頂を目指した登山が始まると、笑っているのはもはやマニーだけだった。

ぬいぐるみの市内観光ツアーにヒント

このコンテンツは 2010/03/11 11:55



マニーのツアーオペレーター「テディを山頂へ ( Teddy to the Top ) 」は、3年前からぬいぐるみの登山を企画実行している。これまでにテディベア3匹、ウシ1匹、ヒツジ1匹が憧れのマッターホルンを踏破した。もう少し低いスイスの山々に登ったほかの動物もいる。

このビジネスをスタートさせたのはアレクサンダー・イスラー氏とカレン・ヴァグナー氏。昼間は野心的な工学およびバイオ技術コンサルタントとして、夜はぬいぐるみのために仕事をこなすカップルだ。2人はまた、登山家やガイドとしての経験も持つ。

2006年、イスラー氏はドイツでぬいぐるみの市内観光ツアーが行われていると聞き、自分にも何かできるのではないかと考えを巡らせ始めた。
「このアイデアは友人と一緒に思いついたものです。人々をハッピーにしつつ、もっと稼げるほかの方法を冗談半分で話し合っていたんです。そのときにテディベアのこのアイデアが出ました」
と、イスラー氏はチューリヒ湖畔の町プフェフィコン ( Pfäffikon ) にある2人の自宅で語る。

「テディベアを山へ連れて行く方がもっといいアイデアだと思いましたね。町へ行ってテディベアの写真を撮ることは誰にでもできるけれど、マッターホルンなどの山へは誰でも、あるいはどのテディベアでも行けるわけではありませんから」

写真
シュヴァルツホルン登山中のマニー

登山の歴史

山により、登山料金は「今月の山」の69フラン ( 約5700円 ) からネパール登山の299フラン ( 約2万5000円 ) までさまざまだ。パッケージには旅行に必要な書類のほか、山で撮った写真やぬいぐるみを連れて行った人が書いた日記も含まれている。

マンモスのマニーはベルン州のプレアルプスの最高峰、標高2929メートルのシュヴァルツホルン ( Schwarzhorn ) への登山を申し込んだ。1月のこの登山には、まもなく子どもへのプレゼントになる、「トラ」という名のユキヒョウも参加した。パーティを率いたのは登山家のイヴォンヌさんだ。

マニーの日記を少し見せてもらおう。
「すぐにクーロアール ( 訳者注:山腹の峡谷 ) に着いた。太陽はもうとっくにゲムシュベルク ( Gemschberg ) の後ろに消えている。クーロアールは険しく、ほぼ手付かずのパウダースノーに覆われている。雪崩が起こったらどうなるんだろう。そんなことを考えちゃだめか」

「尾根伝いに登り、シュヴァルツホルンの頂上に着いた。トラと僕はここまで登ったことを誇りに思った。この山に登ったヒョウやマンモスはほかにはいないだろう。登山の歴史的瞬間だ!」

次に目指した頂上は、中央スイスにある標高3000メートルのベヒェンシュトック ( Bächenstock ) だ。地図上には記されていない「神秘の氷河」のトレッキングも含まれている。
「信じられない山だ……パウダースノーがいつまでもどこまでも舞い続けている」

マニーをかわいがっている8歳のナディアちゃんは、マニーが無事に戻ってきてとても喜んだ。
「スキーをして、とても楽しかったんだって。マニーが登った山にわたしも登りたいな」

写真
アレクサンダー・イスラー氏とカレン・ヴァグナー氏

ファンタジーのある人に



「テディを山頂へ」によると、実現できない自分自身に代わってぬいぐるみを頂上へ送る持ち主が多いという。
「自分自身をテディベアの中に投影している人が多いですね。マッターホルンに登りたいが登れない、それならせめて自分の分身に登ってもらおうと考えるのです。自分にできないことを経験しているのは自分自身の一部なのです」
とヴァグナー氏は分析する。
「また、この登山は生き生きと活気ある出来事なので、子どもへのプレゼントにする人もいます」

イスラー氏とヴァグナー氏はこのツアーがニッチ産業以上に成長することはないと考えており、PRのターゲットも子どもやぬいぐるみ専門誌の読者 ( 主に40歳代の女性 ) に絞っている。

「大人になれとか、そんなことはもうやめろとか、ほとんどの人がわたしたちのことを笑うのでしょうね。一方では、どんなところにお金を使うべきかということについて、わたしたちは合理的にアプローチしています」

ヴァグナー氏は続ける。
「人より少しファンタジーがある人々のために、何か残るものがあってもよいのではないでしょうか」

ジェシカ・デイシー、プフェフィコンにて swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、小山千早 )

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