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アリンギ5号 レマン湖でお披露目

Keystone

アリンギ5号がレマン湖に初めて姿を現し、多くのファンがあるいはボートで近づき、あるいは湖岸から賞賛の眼差しを送った。

このコンテンツは 2009/07/28 17:25

「初航海は思った以上にうまくいった。「アリンギ5号 ( Alinghi 5 ) 」を設計、製作したチームは例外的な仕事を成し遂げた」とチーフヨットデザイナー、ロルフ・ブロリジック氏は語った。アリンギ5号は8月初旬に大型ヘリコプターで地中海に運ばれ、海での初航海に臨む。

海での初航海も問題なし

「アリンギ5号は僅かなテスト期間にレマン湖を航海しただけだが、初日からすべてがうまく機能したのに驚いている」
とヴォー州のスキッパー、イブ・デゥトレイ氏。全長27メートル、幅23メートル、帆の面積1000平方メートルの、このヨットのパワーに驚嘆したという。

「完全な信頼を置くには、まだしばらく時間がかかるが、8月の海での初航海もまったく問題がないと思う」
と続ける。

8月初旬にアリンギ5号は、こうしたヨットを運べる世界で一番大きなヘリコプターでアルプスを越え、イタリアのジェノヴァ港に到着する。その後、8月下旬に海での初航海を行う。

アメリカスカップの開催場所は未定だ。2010年2月に予定されている第33回レースがスタートする港の名前は、8月6日に公表されるからだ。それまでは、完全な秘密が保たれている。挑戦者側「オラクル号」との訴訟問題は2年来続き、ようやく解決の光が見えてきた現在、すべての情報は慎重に取り扱われているからだ。

湖の小型船にインスピレーション

「われわれのヨットは素晴らしい出来栄えだ。オラクル側はきっと少し心配になっているにちがいない。しかしわれわれに挑戦する勇気を持ち続けて欲しい。だが、きっとまたレースがスタートする港の選択に文句を言ってくることはまちがいない」
とアリンギ号のオーナーで、訴訟問題と航海の問題を賢明に区別してきたエルネスト・ベルタレリ氏は話す。

実際、レースの規定書でもある優勝カップの贈与証書 ( Deed of Gift ) には、前回の優勝者に次回のレースの港を決める権利があると記されているが、150年も前の証書には色々な解釈の余地が含まれており、これが問題を引き起こす。

レースが本格的に始まれば、アリンギ対オラクルの一騎打ちは、まったく正反対の形で展開されるとベルタレリ氏は見ている。
「アメリカ側は伝統的なアプローチをしている。彼らは海洋用の 3つの船体からなる三胴船 (トリマラン) を製造しているが、われわれは反対に湖の小型船にインスピレーションを得て、2つの船体からなる双胴船 ( カタマラン) を製造した。もちろん、どちらかがより速く走ることになる」
と言う。ベルタレリ氏は、費用の面でも過去最高の投資を行ったと告白している。

連邦工科大学ローザンヌ校、再び貢献

ところで、アリンギ5号の設計、製作には2000社以上ものスイスの企業や学校がかかわっている。中でも連邦工科大学ローザンヌ校 ( ETHL/EPFL ) の貢献は大きい。
「我が校は、アリンギの初期の冒険から協力してきた。今回の挑戦は前回までよりもっと規模の大きいものだった。今回は特に使用する材料に関する拘束が多く苦労した」
と工科大学学長、パトリック・エビシェール氏はこう振り返る。

結局、同校の6つの研究所が双胴船を改良するため積極的にかかわった。
「当校にとって、こうしたチャレンジに参加できることは、やる気を奮い立たせられるものだ。特に今回は、我が校のロゴがマストの良く見えるところにつけられている」
と微笑む。

エビシェール氏によれば、10年来のアリンギの挑戦のお陰で開発された技術をスイス中の研究者が利用していると語り、
「アリンギの挑戦はテクノロジーを限界にまで推し進めた。こうして誕生した技術は、宇宙開発やビオ医薬品といったほかの分野にまで、広く応用されている」
と締めくくった。

swissinfo.ch、サミュエル・ジャベルグ
( 仏語からの翻訳、里信邦子)

アメリカスカップ

1851年から現在まで続く、世界で最も古く、最も有名なヨットレース。優勝カップの保持者のヨットであるデファンダーと挑戦者のヨットであるチャレンジャーの間で争われる、1対1のマッチレース。
1851 年イギリスで開催された第1回のレースで、ニューヨーク・ヨットクラブのヨット「アメリカ号」が優勝。以後、1983年までの132年間、同クラブがカップを保持し続けた。
2003年、ニュージーランドのデファンダーを、スイスの「アリンギ号」が破り、ヨーロッパ大陸に初めてカップをもたらした。
第33回レースは2010年2月に開催が予定されている。しかし開催場所は未定。

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第33回レースをめぐる争い

2007年7月、第32回レースで優勝した「アリンギ号」のオーナー、エルネスト・ベルタレリ氏は、第33回レースの挑戦者にスペインのクラブを選んだ。
これに対し、「BMWオラクル号 ( BMW Oracle ) 」は、スイスのアリンギチームは、オラクルに不利な判断を行ったと訴訟を起こした。さらにレースの規定書でもある優勝カップの贈与証書 ( Deed of Gift ) に照合させ、スペインのクラブは挑戦者の資格に値しないと訴えた。
複雑で長期に渡る裁判の結果、2009年4月2日ニューヨーク州控訴裁判所はオラクルを挑戦者に決定した。オラクル側はその後もアリンギチームに対し、レースの
規則を一方的に決めたとして訴えを起こした。これに対し、スイス側もアメリカの裁判所に、オラクルを挑戦者として不適格にするよう訴えた。
2009年7月22日、担当裁判官は両者に対し和解調停を行うよう要請。両者はこれを承諾した。

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