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アルプスにも開発の手

高速道路とショッピングセンターがスイス全土を無秩序に侵してしまった Imagopress

このほどスイス連邦科学基金が発表した調査によると、過去2000年間にわたってスイスには田舎の風景が広がり、その姿は緩慢に変動していったが、この70年間でアルプス地方が無秩序に開発されるスプロール現象を起こしていると指摘している。

このコンテンツは 2008/10/23 15:26

調査に携わった地理学者たちはさらに、非効率的で、散漫な開発といった新しい形のスプロール現象を指摘する。ローヌ谷もチューリヒの郊外も、開発の進度は同じだという。

新しいアプローチ

「全土にわたって、スプロール現象が広がっている。アルプスは未開発のままの風景が横たわると思われているが、調査をしてみてそれは嘘 ( うそ ) だということが分かった」
と地学者で研究に携わったクリスティアン・シュヴィック氏は言う。また「都市におけるスプロール現象は、環境、社会、経済のそれぞれの面で重要な影響を与えている」と調査報告は指摘する。さらに、リクレェーション用の土地や自然地域が減少すると、インフラや公共サービスのコスト上昇につながるという。

景観を断片化して分析するヨッヘン・イェーガー氏を筆頭としたチューリヒ・チームは、1935年からスイスで起こっているスプロール現象を統計的に示した。調査では人間生活における3つの要素である人口密度、建物間の距離、都市の定住者が景観に残した痕跡について時代ごとの変化がわかるように地図化した。

1935年、1960年、1980年、2002年の地図を比較し、人口密度の高さと地域の効率性の高さによる「スプロール係数」を算出した。スプロール係数は1935年には1.2、2002年になると2.6と跳ね上がった。
「この結果にわたしたちは興味を持ちました。スプロール現象は起こっていると分かっていたのですが、これほど上昇していたとは驚きです」
とシュヴィック氏は言う。

この3つの点をフォーカスした調査は新しく、スイス全土にわたる土地開発の傾向をより明確に示すことが可能になったとシュヴィック氏は自負する。

無秩序な開発

スプロール現象の原因はいくつか挙げられる。自動車の増加、都市の地価の上昇、自然環境の条件下にある建築の可能性などだ。ダムや雪があるおかげで、ティチーノ ( Ticino ) 州南部とバレー/ヴァリス ( Valais / Wallis ) 州の南西部は、土地開発の速度は緩慢だが、ジュラ ( Jura ) 地方やアルプスの山岳地方は、いったん人が住まなくなると、ほとんど消滅してしまう。

「以前は家に不向きな場所でも、今なら家を建てられるようになった」
とシュヴィック氏は言う。また、以前より狭いアパートに住む人は少なくなっているとも指摘する。1935年には4人家族が寝室2部屋のアパートに住んでいたが、今はたった2人で同じ広さのアパートに住んでいる。人口密度が低くなったのは、人が移動がしやすくなり住む場所と職場が離れていてもよいようになったからだ。このようにして土地開発は、街の中心から郊外、道路や線路に沿って行われるようになってきた。

連邦土地開発局 ( ARE ) によると、人口の4分の3がマイカー族で都会から遠い田舎に住んでいるという。
「1935年には、都市と田舎の区別ははっきりしていた。都市があり、数軒の農家がある田舎がある。それだけだった。しかし、1935年以降、都市と田舎が溶け合ってしてしまった」
とシュヴィック氏は言う。

拡大反対のイニチアチブ

スイスにある26州と2700の自治体は、おのおの独自に土地開発を進めてきた。この調査は、地方自治体が効率的に土地開発をしていくために助けとなるだろうという。

経済面から見ると、人口が密集している方が効率的である。人が分散して住むより道路、水道、警察、消防など公共施設やサービスの需要も低くなるからだ。総合的に開発されないと、自然界に高速道路が通り、動物の生息地息が道路によって切断されるなどといった障害が出てくる。

2008年8月には、環境関連団体が連携し新たな都市開発を今後20年間ストップさせるイニシアチブを起こし、すでに11万人の署名を集めた。また、連邦議会でも開発問題の討論が来年予定されているが、早々の解決は難しそうだ。
「スイス人は田舎に住みたいと思っている。しかし、緑に囲まれて住むなら、自治体がその代償を払うことになる」
とシュヴィック氏は言う。

swissinfo、ティム・ネーヴィル、ジャスティン・ヘーネ 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

調査「定住状況」

乱開発の統計化に、人口密度の要素も取り入れた調査が連邦化学基金の手により行われた。1935年から2002年までを見ると、道路建設と居住区開発が急カーブで上昇している。スイスの人口は1935年に420万人だったが、2002年には720万人に増加した。一方、住民1人が必要とする生活スペースは2倍になった。調査は、未開発地域と開発地域を調査し、スプロール係数を算出した。スプロール値が高いのは、ヴァレー/ヴァリス、ニトヴァルデン、バーゼル、ゾロトゥルン、ティチーノ、ジュネーブの各州だった。自治体はスプロール係数を考慮した開発をするよう、調査は勧めている。

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スイスとヨーロッパ

スイスの人口密度は1平方キロあたり1261人で、ヨーロッパでも8番目に高い。ヨーロッパ諸国の人口密度は高い順に、1.マルタ、2. オランダ、3. 大ブリテン、4. ドイツ、5. リヒテンシュタイン、6.イタリア、7.ルクセンブルク、8.スイス、9.チェコ、10.デンマークとなっている。

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