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インシュラテック ソフトバンクのスイス再保険出資交渉、金融業界に波紋

スイス・リー社の本社

スイス・リー社(本社・チューリヒ)は再保険業界で世界第2位。創業155年の歴史を持つ老舗だ

(bloomberg)

日本のソフトバンク・グループがスイスの再保険会社スイス・リーの株式取得に向けて交渉を開始したと報じられ、スイスの金融業界にも波紋を広げている。スイスのメディアは先端技術への投資を進めるソフトバンクの戦略を概ね好意的に報じ、株式市場ではリー株が好調に推移した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、ソフトバンクがスイス・リーの発行済み株式数の最大3分の1を取得する方向で協議していると報じた。取得額は100億ドル(1兆900億円)以上になるとみられる。ここ数週間でスイス・リー幹部が日本を訪れ、孫正義会長兼社長らと面会したという。

 経済紙フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト他のサイトへは「ソフトバンクが過半数ではないにしろリー社の株式を取得すれば、新たな時代が始まるだろう」とみる。リー社が予測しがたい自然災害より、感染症のパンデミック(世界的流行)や医療技術の革新に伴う寿命の変化など比較的安定した生命保険のリスクに重点を置こうとしていると解説。ソフトバンクの出資がこうした流れを加速させるとの見方を示した。

スイス・リー社の知見・ノウハウ

 独語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー他のサイトへは、両社の交渉が報じられた後、株式市場でリー社の株価が上昇したことについて「投資家たちがこの日本人を信用した。孫氏は『どこかの馬の骨』ではないからだ」と評した。孫氏がこれまでの投資で利益を回収できていない部分を、再保険で世界2位のリー社への投資が穴埋めする可能性があると指摘した。

 スイスの銀行大手フォントーベルのアナリスト、シュテファン・シュルマン氏は同紙で、孫氏の目的について「スイス・リーは自動運転車やサイバー攻撃、その他の新しいテクノロジーに対応できる新しい保険技術の開発に力を入れている」とし、スイス・リーの持つ知見やノウハウに狙いがあると分析した。

 金融・経済ニュースのオンラインサイト「キャッシュ(Cash.ch)他のサイトへ」は、「良く考えれば、やらない手はない」と評価。再保険会社は価値のあるデータを豊富に抱え、それがソフトバンクのノウハウでさらに有効活用され「データ分析の向上がより良い顧客サービスにつながるほか、合理的な価格体系を構築できる」とするドイツ銀行の分析を紹介した。

 日刊紙NZZ他のサイトへはソフトバンクが金融業界に投資するのは初めてではないが、「これまでそう大きな案件はなかった」と書いた。「ソフトバンクがインターネット関連サービスや人工知能に焦点を当てているのと、金融サービスに手を広げるのは首尾一貫しているようにみえる。保険のようなアドバイザリービジネスで効率性を格段に高める基礎になると考えられるからだ」と分析した。

 記者による解説欄では、「ソフトバンクによる出資はリー社に新しい販路を開拓する可能性がある」と指摘。ソフトバンクがアリババなどを通じて中国市場の顧客に繋がりを持っているためだ。これまで直接保険会社としか関わってこなかった再保険会社にとっても「未来的」な印象だが、「『インシュラテック(保険と金融の融合)』を匂わせる出資としては、30%という保有割合はやや過大にみえる」と解説した。

拡大のレールに乗る

 経済誌ビランツ他のサイトへのオンライン版は、リー社が「自然災害の頻発により大きな負荷を抱えている」と指摘。直接保険会社からの払い込みが減り、リー社は過去9カ月で4億6800万ドルの損失を抱えているうえ、「ヘッジファンドや他の投資家が参入し、再保険市場は飽和状態になっていた」。こうした窮状が「拡大のレールに乗っている」ソフトバンクとの出資交渉につながったと匂わせた。

 「155年の歴史があり、社名は古くて堅実なお金の同義語となっている」。オンラインニュースサイトのワトソン他のサイトへは、そんなリー社とはソフトバンクが正反対の性格を有し、「シリコンバレーの文化にふさわしい」と位置づけた。だが2社のつながりは「一見するほどエキゾチックなものでは全くない。デジタル化の波は伝統的な企業や業界を全て飲み込んでいる」と、大きな潮流の一貫に位置づけた。

 報道を受けてスイス・リー株には買いが集まり、8日のスイス株式市場では93.44フランと前日比約4%上昇した。各紙報道によると、チューリヒ州立銀行は「この取引が現実になるかどうかは極めて不確実だ」として、リー株の買い判断を「中立」とした。独バーダー銀行傘下のヘルヴェアは「買い」推奨とし、目標価格を103フランに設定。ダブルAの格付けには影響しないとみる。

 スイス・リーは7日、「将来的に少数株主になることについて、ソフトバンクと予備的な協議をしている。ただ議論は極めて初期段階で、合意に至るかどうか、条件や時期、出資形態など確かな点はない」とする声明他のサイトへを出した。ソフトバンク側はコメントを控えている。

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