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インテリジェント繊維で健康チェック

シャツの中の光ファイバーセンサーが血流の酸素量を測る Biotex

スイスを中心とする共同研究体が、生活機能を測定できる「インテリジェント繊維」の開発を進めている。主な対象は、疾患やケガの回復を待つ人々だ。

このコンテンツは 2007/07/25 15:26

「バイオテックス・プロジェクト」は欧州連合 ( EU ) の資金援助を受け、研究所と民間会社が共同で技術の完成を目指している。

心拍数など、ある種の生活機能は数年前から自分でも測定できる。森や公園ですれ違うジョガーの中には、胸の周りに脈拍を測るためのストラップを掛けている人、あるいは同じような機能を持つ測定機器が組み込まれた奇抜なTシャツを着ている人もいるかもしれない。

インテリジェント繊維

しかし、これらの計測器の役目は、心臓がどれだけ早く鼓動を打っているかということを教えるだけだ。たとえばほかに、汗などの体液をどのくらいの早さで失っているかということも知ることができるのだろうか。

バイオテックス ( Biotex ) プロジェクトの目的はまさにここにある。この計画では、種々の指標を測定できる衣類組み込み型のセンサーを開発している。着用者は、体にまったく針を刺す必要がない。

インテリジェント繊維の開発は、これまで心拍数や呼吸数、体温などの測定に限られており、利用者もスポーツ選手や心臓に疾患のある人々のみだった。

「私たちは体液に焦点を絞り、センサーを使って長時間、着用者の血液や汗、尿の測定を行おうと思っているのです」と説明するのはニューシャテル ( Neuchâtel ) のスイス電子・マイクロテクノロジーセンター ( CSEM ) でこのプロジェクトを率いているジャン・ルプラーノ氏だ。

生命情報

ルプラーノ氏は、たとえば汗を分析することによって、心臓に関係のある情報がたくさん得られると考えている。体細胞を機能させるための生命の歯車、カリウムのようなイオンの測定もその1つだ。「最大の問題は、そのような測定を行うに足りる量を集めることです」

問題はほかにもある。このような測定には普通、化学反応が伴う。しかし、まったく同じ環境で化学反応を繰り返させることは不可能だ。そのため、研究者たちは光や電気を用いたほかの技術にも注目している。

もっと日常的な悩みもある。「この衣類は洗うこともできなければなりません。必要であれば、毎日でも使えるようにしたいのです」

さらに、治療の現場に目を移す。ルプラーノ氏は、包帯を巻かなければならないほど大きなケガをした場合、それがきちんと治癒しているかどうかを衣服の上からチェックしたり、包帯をいちいち取らなくても皮膚が順調に回復しているかを測定できるようにしたいと話す。

そうなれば、病院の医療関係者は時間も労力も節約できる。心臓に問題がある患者を毎日診察しなくても、医師は患者の状態を相応に把握できるようになるだろう。

利用の可能性

インテリジェント繊維は健康な人々を対象としているわけではないが、スポーツ選手には見逃せない技術となりそうだ。「このような衣服を身につけたときのメリットは大きい」とルプラーノ氏は言う。

このプロジェクトの恩恵を受けられる職業に消防士がある。パリでは、すでに数人の消防士が試作品をテストしている。「消防士など危険な環境で働く人は、たとえば体温が上がりすぎたときにその場所を離れるタイミングが分かれば便利でしょう」

また、必要なときにはアルコールや麻薬などを測定することも可能だ。「保険会社はこのような用途に関心を示すかもしれません。しかし、利用できるかできないかは、対象となる人口数、またこの技術の利用範囲を公共事業機関がどの程度とするかによるでしょうね」

swissinfo、スコット・カッパー 小山千早 ( こやま ちはや ) 意訳

ヨーロッパのパートナーシップ

「バイオテックス・プロジェクト」は特定の目的を持つ革新的な研究プロジェクトで、欧州委員会の第6次研究技術開発枠組計画に属する。

コンソーシアム ( 共同研究体 ) は4カ国、8つのパートナーから成る。

参加しているのはマイクロ・ナノテクノロジー分野の研究施設が2つ、衣類の研究開発および製造を行っている会社が2社、着用可能なバイオ工学を研究している大学が2校、そして繊維の工学技術と製造を専門としている会社が2社ずつ。

同プロジェクトは2005年に始まり、終了は来年前半の予定。予算は310万ユーロ ( 約5億2000万円 ) で、そのうち190万ユーロ ( 約3億2000万円 ) を欧州連合( EU ) が負担。

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テクノロジーセンター

スイス電子・マイクロテクノロジーセンター ( CSEM ) は、マイクロ・ナノテクノロジーやマイクロエレクトロニクス、システムエンジニアリング、インフォメーションおよびコミュニケーションテクノロジーの分野で活動している。

同センターは、カスタマイズされたマイクロシステムやマイクロエレクトロニクスデザイン、システムソリューションなどのほか、ハイテクコーティングや新しい材質などを産業界の顧客に提供している。

事業も活発に拡大されており、過去10年で既存の会社やスピンオフおよびスタートアップ企業の合計は23社に増加。

研究資金を得るため、同センターはスイス当局とも長期契約を結んでいる。

2006年末、同センターで働く従業員は310人を数えた。そのうちの3分の2は学者で、年間収益は3600万ユーロ ( 約60億円 ) 。

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