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サッカー W杯 スイス無念

ウクライナの選手に食らい付くスイス、バルネッタ選手。スイス全国民が見ていたゲーム Keystone

ドイツW杯に出場していたスイスチームは6月26日の決勝トーナメント第1回戦で、延長後、PKとなりウクライナに0対3で敗れた。

スイスが決勝戦まで進出したのは1994年以来のこと。スイス国内では野外に大型のテレビを持ち出し、グループで観戦する市民も多かった。チューリヒ市の中心地には、あまりにも多くのファンが集まり過ぎ、ゲーム開始1時間前には通行止めになった地域もあった。

 スイス対ウクライナ戦はケルンのライン・エネルギースタジアムで21時からスタートした。守りの堅いウクライナの間を縫って、スイスはいくつかのゴールのチャンスがあったが、得点には至らなかった。

多々あったチャンス

 ゲーム前半、スイスがボールをしっかりキープしていたものの、ウクライナは敏速に反応し、スイスのシュートを抑え込んだ。ゲーム開始15分からはウクライナはスピードを上げ、ゲームの展開を握った。

 20分にはウクライナが、23分にはスイスがフリーキック(FK)でチャンスを得たが、いずれも失敗。その後もスイスのゴールのチャンスはあったものの、ウクライナの堅い守りを破りきれなかった。試合後半、スイスの選手は体力の衰えが目立ち始め、ウクライナが優勢にゲームを運んで行った。それでも、スイスの守りががんばって相手のゴールを許さず、延長戦となった。

 延長戦ではスイスの体力が回復。しかし、97分、100分にあった2度のゴールのチャンスを逃してしまった。

 120分の戦いも引き分けでPK戦となる。ウクライナの第1シュートをスイスのゴールキーパーがしっかり受け止めた。スイス準決勝進出なるか?しかし、スイスの第1シュートも相手のゴールキーパーの懐に。結局、スイスのシュートは1度もゴールに達することがなく0対3でW杯から退場となったのである。

実力はあったのに

 ケビ・クーン監督はスイスでも人気者。T-シャツに彼の写真をプリントする人もいるほどファンが多い。敗戦後のインタビューで「守りのゲームをしたわけではないが、1点も取れなかったことは事実。負けることも受け止めなくては」と語った。ゴールキーパーのツーバービューラー選手は「非常に残念。スイスはウクライナより実力はあった。彼らは実力で準々決勝に進んだわけではない」と悔しそうだ。

 27日付けの日刊紙ターゲス・アンツァイガーは1面で「W杯の夢 破れる———(スイスチームの)ドイツW杯へのすばらしい旅は無残にも終わりを迎えた」と書いた。またノイイエーチュルヒャーツァイトゥング紙はスポーツ欄で「世界の舞台から苦い決別」という題の記事で「ゲームの質は低かった」とPKでのチャンスをすべて逃したことを批判した。

 W杯では、スイス戦があると国会さえも一時中断するなどの熱が入ったスイス。しかしゲーム終了後は、ファンが大騒ぎすることも無くひっそりと夜が更けていった。

swissinfo、佐藤夕美(さとうゆうみ)

W杯でスイスが第2次世界大戦後決勝トーナメントまで進んだのは
1954年、1994年、2006年の3回のみ。
1954年のスイス大会で4対1でイタリアに勝って決勝トーナメントに進出。準々決勝でオーストリアに負けた。
94年の米大会では決勝トーナメントでスペインに0対3で敗れた。
スイスの選手はW杯出場で11万フラン(約1000万円)、決勝進出でさらに8万5000フラン(約800万円)のボーナスをもらった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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