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スイスにもある人身売買

性産業における非合法労働者は、人身売買犯罪に関係している場合が多いと見られる

(Keystone)

スイスでは初めて人身売買事件への対応のため、警察官向けのセミナーが開催された。

セミナーでは、効果的犯人追跡と被害者への対応を学んだ。被害者は東ヨーロッパ、南東ヨーロッパ諸国から売られてきた若い女性が多いという。

 「被害者が話さない限り、加害者を特定することはできない」と語るのは、連邦警察の広報担当ギド・バルメル氏。連邦警察はこのほど人身売買対策課と協力し、チューリヒでスイスでは初めての警察官向けのセミナーを開催した。特に力を入れたのは、被害者である女性への対応の仕方。警察官と被害者との信頼関係の作り方だった。

高い関心度と国際協力の必要性

 警察官と被害者の信頼関係が成立しない限り「被害者による証言ができない」とバルメル氏は指摘する。被害者の女性が証言したいと思うように仕向けるためには、彼女たちの法的な立場を認識してもらうことが大切だ。人身売買にかかわっている場合は、被害者に対してスイス政府の保護や援助があり、必要に応じて祖国への帰国援助も行っている。

 セミナーに対する警察官の関心も高く、参加希望者数は定員の2倍に上ったため、秋にも同様のセミナーを開催し、来年にはスイスで開催されるサッカー欧州選手権 ( W杯 ) に向け、引き続きセミナーを行う予定だ。

 外国の警察官のセミナー参加も受け入れている。これは、たとえば、被害者の帰国問題や危険な立場に置かれた被害者とその家族への対応などが必要であり、被害者の祖国政府との協力が不可欠なためである。

被害者への対応が向上

 「被害者の女性にとっては、事件を証言することは大変なエネルギーを要する。裁判を最後まで全うすることは更なる負担を強いられる」とチューリヒの「女性情報センター (FIZ ) 」のスザンネ・バハマン氏は言う。

 FIZは人身売買の犠牲者に対する援助を行う専門機関だ。昨年は133人の被害者の相談に乗った。カリブ諸島や、東ヨーロッパ、南東ヨーロッパ諸国、バルカン諸国、ブラジル、タイの出身者が多いという。大部分が性産業で労働させられるか、ダンサーやハウスメイドになるという。加害者にだまされた被害者が非合法滞在などで罪を問われていても、真の犯人は女性が稼いだお金で懐を肥やし、多くの場合は無実で大手を振って白昼の街を歩いている。

 しかし、バハマン氏によれば、こうした状況は徐々に変わっているという。「警察、外人警察、司法、被害者援助団体といった関係者の協力により、状況は向上した。告発も増加している。「警察が非合法にスイスに滞在し労働している被害者に対し、理解を示すようになった」とバハマン氏は、警察の人身売買事件への取り組みへの変化を評価している。

 被害者が証言をしようと決心するまで1カ月間の猶予が与えられるようになり、昨年は33人が事件の証言を行った。この間は、国内に滞在し続けることが認められている。また、帰国することが非常に危険とみなされ、スイスでの滞在を認められるケースもあるという。

swissinfo、ヴィレラ・マラック 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 意訳

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スイスにおける人身売買の正確な被害者数は把握されていない。連邦司法省 ( EJPD/DFJP ) による直近の発表は2002年と古いが、3000人が被害にあったと推測されている。2005年には、人身売買事件で11件の有罪判決が下された。2000〜2004年の間では年間平均5件にとどまっている。

欧州安全協力機構 ( OSCE ) の統計によると、世界的の人身売買の取引額は320億ドル ( 約3兆8000億円 ) で、麻薬と武器売買を合わせた売上額以上の金額に上るという。

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