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スイス 中東和平+人権尊重調停に乗り出す

ジョセフ・ダイス外相は10日の閣議で、スイス政府がイスラエルおよびパレスチナ暫定自治区での人権尊重と和平調停に公式に乗り出すことが決定されたと発表した。閣議決定を受け外務省では、イスラエル・パレスチナ双方の合意を得られる人権・国際法尊重と停戦あるいは和平を統合した調停案を作成している。

スイス調停の発表にともない、ダイス外相は再度イスラエルに対しパレスチナ自治区からの軍の即時撤退を求め、パレスチナ当局に対しては自爆テロ停止のためにあらゆる努力をするよう要請した。スイス調停の基本理念は、人道法尊重と和平が完全に統合されない限り中東の長期的な和平はあり得ないというものだ。ダイス外相は、これまでに何度もパレスチナ自治区での人権侵害と赤十字国際委員会など人道機関が活動できないほどの危険な情勢に深い懸念を示してきた。「ジュネーブ条約(国際人道法)のdepository国として、人権尊重の原則を遂行するのはスイスの使命だ。」とダイス外相はswissinfoに語った。さらに、ダイス外相はスペイン外相に、10日マドリードで行われるパウエル米国務長官および米、EU、ロシアの外交官会談で、国際人道法の問題を議題に盛り込むよう要請したと語った。

イスラエルのパレスチナ自治区軍事侵攻を国際人道法の侵害と糾弾したダイス外相の発言は、イスラエルとスイス国内のユダヤ人社会から中立国として不適切との批判が上がった。が、外相は「人道法の尊重の遂行と中立政策は関係ない。我々は犠牲者、暴力の犠牲となっている民衆の味方だ。」と反論した。

一方、政府は、国防省に対し対イスラエル関係を見直すよう指示したことを明らかにした。スイスはイスラエルから航空誘導システムと無人航空機、総額約1億8000万スイスフランを購入している。また、経済省もイスラエル製品の輸入停止措置などを含め、イスラエルとの貿易協定の見直しを検討中だ。

また、パレスチナ人のための国際保護組織の一員として現地にいるパブリックサービスユニオン(ジュネーブ)のメンバー、クリストフ・デルメレ氏は、イスラエルのパレスチナ自治政府議長府攻撃は心理戦の一環だという。デルメレ氏は「我々はパウエル米国務長官に対し、イスラエル政府に軍事侵攻、ナブルスおよびジェニンでの殺戮、ラマラのパレスチナ自治政府議長府包囲を即時停止し、パレスチナ自治区の占領軍を即時撤退するよう圧力をかけ続けるように要請している。我々はパレスチナ人のために正義を得るためここにいる。ここにいる人は全員がイスラエル占領地域で行われた事の目撃者だ。我々は、公正な司法が達成され、国際法が尊重されるまで、ここに残留する。」と述べた。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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