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ニュルンベルク裁判の音声記録をデジタル化



左から被告席のヘルマン・ゲーリング、ルドルフ・ヘス、ヨアヒム・フォン・リッベントロップ、ヴィルヘルム・カイテル

左から被告席のヘルマン・ゲーリング、ルドルフ・ヘス、ヨアヒム・フォン・リッベントロップ、ヴィルヘルム・カイテル

(Keystone)

スイスのユニークなシステムを用いて、ナチスの戦犯を裁いた歴史的なニュルンベルク裁判の音声記録が一般公開されるかもしれない。

ハーグ ( Hague ) の国際司法裁判所 が、雑音のする埃をかぶった古いビニール製のレコード盤2000枚に何百時間分も録音されたニュルンベルク裁判の音声をデジタル化するようフリブール工学・建築大学に依頼した。

泣き声と怒り

 「約5年前に誰かがハーグの保管庫で発見するまで、それらのレコード盤は事実上忘れられた存在になっていました」
 とフリブール工学・建築大学 ( College of Engineerig and Architecture of Fribourg ) で信号処理を教える教授のオッター・ジョンセン 氏は語った。
  
1945年11月から1946年10月の間に、22人の元ナチス高官がドイツのニュルンベルクで裁判にかけられた。彼らは侵略戦争の計画と実行、戦争犯罪、非人道的犯罪などの罪で起訴され有罪となった。

 それら被告席に座った戦犯の中には、ヘルマン・ゲーリング、ルドルフ・ヘス、ヨアヒム・フォン・リッベントロップらがいた。ヒトラーの側近だったマルティン・ボルマンは行方不明のため欠席裁判となった。

 ニュルンベルク裁判は重要な法的前例となり、その後に続く国際戦争犯罪の告発と国際刑事裁判所での審判にとっての土台となった。

 ニュルンベルク裁判の文書記録と短い映像は存在するが、裁判過程の全てを録音した音声記録をデジタル化し、それをインターネットで一般公開するのは初めての試みとなる。

 ジョンセン氏は、デジタル化された音声記録がこの有名な国際裁判についての新しい考察をもたらすことになると確信している。
 「中心は感情です。泣き声や怒りは文書には書かれていません」

 国際司法裁判所がフリブール工学・建築大学に初めて連絡を取ったのは約3年前だが、最近の進展状況からジョンセン氏は今年の年末までに正式な契約が結ばれることになると期待している。
 「期待が持てると思います。しかし資金の調達は複雑ですから、契約が結ばれるのは明日かもしれませんし、数カ月先かもしれません」

革命的なシステム

 フリブール工学・建築大学は音声記録の回復のために、この種のシステムでは世界唯一の方式である「ビジュアル・オーディオ」システムを使用する。これは、大学がスイスのイタリア語圏の街ルガノに位置する「スイス国立サウンド・アーカイブ」と共同で開発した革命的なシステムだ。

 1999年に開発されて以来ビジュアル・オーディオの使用によって、アナログ方式で録音された音声をデジタル化のファイルに保存する作業が進んでいる。このシステムは、まずレコード盤の溝の形と細部を非常に高度な解像度を持つカメラで上方から撮影する。

 「2500メガピクセルの解像度が必要なため銀塩写真を使用しています。これは現存する最高のデジタル・カメラの解像度より100倍も優れています」
 とジョンセン氏は説明した。

回転運動を行う機械に光源と直線的な移動をするカメラが取り付けられている。カメラはレコード盤の溝の輪郭と形を分析し撮影する。その後コンピューターで非常に正確なデジタル音波が再構成される。

パズルを再構成

 フリブール工学・建築大学の学生はすでに、ニュルンベルク裁判のアメリカ人主席検事ロバート・ジャクソンの録音の一部の試験的なデジタル化に成功した。

 ジョンセン氏は、このデジタル化プロジェクトが正式に契約されたら、山と積まれたレコード盤の録音状態にもよるが、人員が2人いれば約6カ月間でデジタル化できると考えている。

 直径30センチメートル、78回転のレコード盤には、片面25分間の音声が両面に録音されている。レコード盤はずっと保管庫に保存されていたらしく、大半が手つかずのままだ。
 「まるで考古学のようです。保管されたとき、レコード盤の損傷は最小限でした」
 とジョンセン氏は語った。

 昔の78回転のレコード盤の寿命は約10年から200年で尽きる。ニュルンベルク裁判の録音状態が悪かったり、レコード盤が大きくいくつかに割れていたりしても、コンピューターは音声を再生できるとジョンセン氏は説明した。

審判の時

 現在「スイス国立サウンド・アーカイブ ( The Swiss National Sound Archive ) 」は、解像度の高い保存用ファイルや一般公開用のMP3圧縮ファイルを作成するためにビジュアル・オーディオを使用しているとアーカイブの技術責任者ステファノ・キャバリエリ氏は語った。

 また、フランス語圏のラジオ局「ラジオ・スイス・ロマンド ( Radio Suisse Romande ) 」は、番組を録音した78回転のレコード盤を大量に所有しているが、深刻な損傷を受けたものが多く、それら全てを保存するためにビジュアル・オーディオが使われている。

 さらにフランスの国立図書館、オーストリアの公立図書館、そして個人のオーディオファンもビジュアル・オーディオの試用を始めている。

 「80歳のスコットランド人男性から、1942年の古いレコード盤を1枚デジタル化したいと連絡がありました。20歳の時に聴いていたというレコード盤のデジタル化が終わり、その音楽が流れている間彼は泣いていました」
 とジョンセン氏は語った。

サイモン・ブラッドレー 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳 笠原浩美 )

ニュルンベルク裁判

ニュルンベルク裁判は、第2次世界大戦の戦勝国である連合国によって設置された一連の国際軍事裁判。被告はアメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦の裁判官によって裁かれた。
一連の裁判の中で最も有名なものは、1945年11月20日から1946年10月1日の間に行われた「国際軍事法廷における主要戦争犯罪人裁判 ( The Trial of the Major War Criminals before the International Military Tribunal ) 」。ナチスの主要戦争犯罪人のうち捕らえられた22人が出廷し裁きを受けた。
この裁判では、ヘルマン・ゲーリング、ルドルフ・ヘス、ヨアヒム・フォン・リッベントロップなどの主要戦争犯罪人が裁きを受けた。ヒトラーの側近だったマルティン・ボルマンの審判は欠席裁判となった。
被告の主要戦争犯罪人は、侵略戦争などの計画、実行、共謀への参加、戦争犯罪、非人道的犯罪など、当時は新しい犯罪だったが、その後国際法で確立された犯罪で起訴された。
被告12人が死刑、7人が長期服役、3人が無罪となった。
その後ほかの戦争犯罪人の審判を行うために、アメリカ占領軍による「ニュルンベルク継続裁判 ( Trials of War Criminals before the Nuremberg Military Tribunals ) 」が再度ニュルンベルク軍事法廷で行われた。

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