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バレンタインのバラ一輪で途上国援助

日本では何故か女性が男性にチョコを送るバレンタイン・デー。西洋では男性が女性にプレゼントを送る。スイスではこの日に売上げが急増する赤いバラ。エクアドル産のものが多いが、背景にはこんな途上国援助プロジェクトが。

スイス人が切り花を購入する金額は年間一人当り124スイスフランで、世界でも群を抜いている。真冬のバレンタイン時、国内でのバラ栽培は困難なのでほとんどは輸入、特にエクアドル産のものが多い。チューリッヒ近郊で生花卸売り業Hottinger AGを経営するクルト・ホッティンガーさんによると、バレンタイン・デー前後は赤いバラの売り上げが通常の4倍に増え、他の花のと合わせて全体で売上げ30%増となる。バラはイタリアやフランスからも輸入するが、エクアドルのものが最も多い。それには、こんな理由があった。

2年前、中南米諸国のバラ栽培に従事する人々の労働条件改善のための援助プロジェクト、「Proyecto Indiano」が始められた。これは、各生花販売業者がエクアドル産バラからの収益の一部をエクアドルのProyecto Indiano農場に寄付するというものだ。「各生花業者がバラの収益金の一部をエクアドルに直接送る。」とProyecto Indiano農場の立ち上げメンバーの1人でもあるホッティンガーさんはいう。同プロジェクト農場では、バラ栽培労働者の公正な労同条件(週43時間労働、休日・休憩の確保、社会保健保障、労働着の支給)も保証している。「同農場では、労働者の労働条件を守り、農薬の少ないバラ栽培をしている。」とホッティンガーさん。スイスでは花屋はエクアドル産のバラを扱いたがらなかったという。産地がどこか、労働者を搾取していないかなど、社会から糾弾されることを恐れるからだ。「だから私は花屋に心を込めてエクアドル産のバラを売らせてあげたかった。」とホッティンガーさんはいう。

今、スイスで「Proyecto Indiano」の標示が付いたバラを買えば、あなたも途上国援助をしていることになる。バラ栽培だけでなく、学校や孤児院建設、難民支援でもProyecto Indianoは活動している。ホッティンガーさんは、エクアドルでのプロジェクト拡大を計画中だというが、バラ農場は現況のサイズを保つという。現在、8ヘクタールの農場では100人強のスタッフが100種のバラを栽培している。「スイスの顧客は最新種の新着の花を欲しがる。ファッションと同じだ。」とホッティンガーさんは語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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