氷河 凍った時の流れ















写真家ダニエル・シュヴァルツさんが気候変動のテーマに取り組むようになってからもう長い。ビュンドナー美術館で開催中の展示会「移り行く氷河(Gletscher Odyssee)」外部リンクでは、美術館の目の前で実際に起こった環境の変貌が写真に収められている。

フォトエディターとして、SWI swissinfo.chでの写真の編集利用と写真家とのコラボレーションを担当。機会があれば、カメラを持って記者に同行する。 チューリヒで写真家として訓練を受け、1989年からフォトジャーナリストとして活動。1990年にスイスの写真家エージェンシー、ルックアット・フォトスを設立。ワールド・プレス・アワードを2度受賞し、スイスの奨学金制度も利用。作品は広く展示され、様々なコレクションに収蔵されている。
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シュヴァルツさんはある日、父親と一緒に山を散策した。それはヴァリス(ヴァレー)地方の子供の頃の思い出の場所だった。この日をきっかけに今回のシュヴァルツさんの取り組みが始まった。現在のローヌ氷河と50年前の家族旅行の写真を父親と2人で見比べたとき、その違いに愕然とした。何千年もかけて育ち、人知れずその姿を変えてきた氷河の流れが後退している。そして今まさに我々の目の前で消え去ろうとしているのは明らかだった。
始まりは好奇心から
旅行の後、氷河の多いジュラ地区の南方に位置するソロトゥルンの自宅へ戻ってからも、このテーマがシュヴァルツさんの頭から離れなかった。事実を確かめようと地図を調べ、氷河学者とコンタクトを取った。シュヴァルツさんが仕事に取り組むときは、いつもまず徹底的に問題の調査を進める。事実の関連性や背景を理解したい思いが彼を駆り立てるのだ。
調査を進めながら、シュヴァルツさんは自分の過去と事実を結び付けていく。自分が昔住んでいた場所や歩いた場所をたどり、アルプス地方を探索していった。そしてこれらをアジア、アフリカ、南アメリカの写真で補った。展示会では、写真や地図を通し、氷河が氷河期から過去200年間にかけて後退し続けた様子が見て取れる。
芸術作品としてのデータ
クールにあるビュンドナー美術館での開会にあたり、シュヴァルツさんは「今日皆さんがこの美術館で見るものは、私の写真ジャーナリストとしての活動の結晶だ」と挨拶。「私の取り組みは必ず事実を検証している。カメラを片手に実際に何かが起こっている場所へ赴き、それを自分の目で確かめてカメラに収めるのが私のやり方だ。そして必ず社会との関連性があることが前提だ」と続けた。
21世紀末までには現存の氷河がほぼ消滅するという意見で専門家らは一致している。
クールで開催中の展示会はダニエル・シュヴァルツさんのプロジェクトをベースにしている。2017年にはテームズ・アンド・ハドソン社が「While The Fires Burn(仮訳:火が燃える間に)」外部リンクというタイトルで写真集を出版した。展示会外部リンクは2018年11月10日から19年2月17日まで開催。
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