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国防法改正承認は開かれたスイスへの一歩:スイス各紙、国民投票結果を評価

コソボ平和維持部隊(KFOR)のスイス部隊「スイスコイ」 Keystone

スイスの新聞各紙は、国民投票で軍の役割改革を目指す国防法改正案が承認されたことについて「開かれたスイスへの第1歩」と評価した。が、賛成51%、反対49%とわずか2%の小差での承認は国際協力への参加をめぐり国内が二分されたことを意味し、EU、国連への加盟を目指す政府にとって今後の困難を指摘する論調が目立つ。

「ターゲス アンツァイガー」(チューリッヒ)紙は、スイス政府が目指す漸次「開国」政策は今後さらに困難になるだろうと見る。また、仏語紙「Le Matin」「 Le Temps」は、平和維持部隊への武装兵士派遣、国際共同軍事演習・訓練へのスイス軍参加の2案承認はサミュエル・シュミッド国防相の個人的勝利と断定したが、他紙はスイスの中立政策保持を訴え否決キャンペーンに何百万スイスフランも費やした人民党の右派勢力急先鋒クリストフ・ブロッヒャー国民議会議員の敗北との見解を示した。先の「ターゲス アンツァイガー」は『ブロッヒャーの敗北』と題し、「ついにクリストフ・ブロッヒャーは、『スイス開放』と称された国民投票で大敗した。第2次大戦以来、不動の柱石だったこの国の中立の概念が、ついに動き始めた。」とした。政治紙「ブント」(ベルン)も、「投票結果は、意識の変化、世代交代、古来の中立政策の概念の終末を示すもの」とした。

仏語紙「トリビューン ド ジュネーブ」は、「ついにスイスでも中立政策について論じることはタブーではなくなった。10日に下された歴史的な決断は、来年予定されている国民投票でスイスが国連に加盟する道を開いた。」と、結果が国連加盟へつながるとの見方を示した。が、「ブント」紙は、「10日の投票結果は、スイス開放の兆し以上のものではない。来年予定されている国連加盟をかけた国民投票で勝利することが、より重要だ。」と楽観視を戒めた。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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