ナビゲーション

ナビゲーションへ

グローバルメニュー

国際児たち、どう思っていますか?

「ジュネーブ日本語補習学校」で日本語を学ぶ国際児たち

(swissinfo.ch)

「国際結婚で生まれた子供たちを今は国際児と呼びますよ」とチューリヒの学校関係者に教えてもらった。古くは混血児に始まり、ハーフとも呼ばれているがこれらの呼び方には何かしら差別的色合いが付きまとう。

そして、この「国際児」という呼び名への変化にこそ、まさに今回アンケートに応じてくれた若い国際児たちのアイデンティティーの変化が読み取れるようだ。 

 スイス人と日本人の国際結婚で誕生した国際児14〜15歳の男子2人、女子2人。さらに一周り違う、31歳の女性と34歳の男性に今回、国際児として生まれたこと、日本とスイスの文化の違いなどを聞いてみた。彼らは34歳の男性を除くと全員日本語を母国語のレベルで話せる。スイス人と日本人との間にできた国際児の数字ははっきりつかめないが、スイスに永住する日本人3634人の何割かを占め、確実に増えているとベルン領事班の担当者は言う。

何人と答えますか

 「何人ですかと聞かれたら何と答えるか?」との質問に、子供のグループは4人とも、「スイス人と日本人と言う」という答えが明快に返ってきた。1人の女の子は「ハーフと言われるのはおかしい。私は100%日本人でそして100%スイス人だと思っている」との答え。

 ところが、30代の女性と男性の答えは、アイデンティティーを見極めようとする姿勢が強い。「説明が面倒なので最近はスイス人と答えるようになった。国籍はあまり関係ないと思うようになったが、どちらかといえば日本人だろう」とか「スイスで育ったので完全にスイス人であり、加えて50%日本人なのかもしれない」など。

 それは、「国際児ということで良かった点、悪かった点は?」という質問でも同じ。31歳の女性の方は高校まで日本で育ち、いじめられて「スイスへ帰れ」と言われたとか、「なぜ自分が他の子と違うのか長い間分からなかった」とか、いつも所属するグループを探しており「やっと最近になって、所属するグループは必要ないと思えるようになった」と言う。

 34歳の男性もスイスの小さい村で育ち「見かけはスイス人だが、苗字が日本名であることなどで目立っただろうし、その村の社会に打ち解けていなかったかもしれない」と言う。かといって、大きく傷ついてはいない。むしろ2人とも子供のころの経験を経てある今の自分に誇りをもっている。

 ただ子供のグループはより明快で、全員「国際児として嫌な思いは一度もしていない。私たちは学校でも普通のスイス人と同じ」と言う。さらに男の子は「ポケモン、任天堂、漫画を生み出した国」というので学校でヒーローになった経験さえある。

 女の子も「2つの文化を持てて豊かですばらしいこと。スイス人だけというのはつまらない」とか「日本はいい国と周りが思っているのが感じられる」と、まさにすくすくなんの偏見も受けずに育っているのが感じ取られた。 

 後日、子供たちの母親から幼い時「中国人だ」「目がバナナみたいだ」といじめられた話を聞いた。だが、それがトラウマになるような重いものでなく、忘れられる位のものだったということだろう。

日本とスイス

 「日本文化の良いところは?」の質問に大人のグループは一歩突っ込んだ答え。家族を大切にする、年上を敬う、神道など自然とのかかわり、説明しなくても相手が分かってくれる、安心できる文化など。

 子供のグループもうまく分析できなくても、直感的に日本をとらえている。人が親切、スイス人はすぐあきらめるが日本人はスポーツなどで最後までがんばる。お茶、お正月、卒業式など儀式の国。複雑で微妙なもの、小さい凝ったお菓子などきれいなものが多い。

 「日本文化の悪いところは?」の質問に、両方のグループとも、仕事や勉強などがんばりすぎる、日本では大学を絶対出ないといけないがスイスでは専門学校出でもきちんとした職につける。人に言われたとおりに従わなければならないところがあるという答えが返ってきた。

 「スイスの良い点は?」。安全な国、平和な国。結構親切だし、まじめなので日本人に似ている感じもする。日本より色々な文化が混在するので他文化との交流ができる。「悪いところは?」。物価が高い、日本のことを分かっていない、食べ物は断然日本がおいしいなど。総じて全員住み心地はいいと感じているようだ。

本当の国際化

 子供のグループの中に2人、将来「日本人と結婚したい」と思っている子供たちがいた。スイスは住み心地はいいし、差別も受けていないし、だけど日本人と結婚して、子供が日本語を話すようになって欲しいし、日本文化を分かって欲しいし、日本食を味わうようになって欲しいという。

 日本のことを聞くとスイスのことより、2倍も答えが返ってくる。単に「住んでいない国は客観的に分析しやすいから」という理由だけではないかもしれない。スイスは安全で、スムーズに日々が送れるが、儀式に乏しく、「複雑さ」に乏しく、食事もそれほどおいしくないと言えるのかもしれない。

 それでも、子供たちは差別も感じず、スイス人になりきって、同時に日本文化の豊かさを享受しているようにみえる。それに対して30代では、日本でもスイスでも疎外された経験がありそれが何かしら人生に陰影をつけ、アイデンティティーを求めての旅を続けているように感じ取れる。

 この両グループの違いは「国際児をどちらの国のほうがよりよく受け入れるか?」の質問に、「変な質問です。スイスで生まれ育った私たちはここでちゃんとスイス人ですし、もし日本で生まれ育ったら日本人としてちゃんと受け入れられるのはまちがいないと思います」との子供グループの答えの中に端的に現れている。彼らはもう国籍などにまったくこだわらないスイス人であり、日本人なのだ。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )


リンク

Neuer Inhalt

Horizontal Line


Neuer Inhalt

Follow button for Twitter

subscription form

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。