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地球温暖化で、人工雪にも限界

強まる傾向 : スイスでも、人工雪は増加の一途 Keystone Archive

スキー場での人工降雪は今後も増える見込みだ。現在、スイスにあるゲレンデのほぼ2割で人工雪が使用されており、隣国オーストリアではすでに5割に上る。

このコンテンツは 2007/12/21 15:26

ダボスにある連邦雪・雪崩研究所 ( SLF ) の調査によると、地球温暖化により、中期的見通しではあるが、標高1500メートル以下で人工雪が使用できなくなるという。

高地のスキー場では、人工雪が冬のスキー観光業を助ける手段になる。地球温暖化が招く気温の上昇により、人工雪を使用できる可能性も明らかに減少していく。調査報告書は、スキーリゾート地は地域的特色を活用することが得策だと結論付けている。

差し迫る国民所得の損失

現在、スイスのゲレンデの19%に人工雪が使われているが、さらに増加する傾向にある。そこで、連邦雪・雪崩研究所 ( SLF ) 、連邦森林・雪・景観研究所 ( WSL ) 、ラッパーズヴィル工科大学の3団体は、ダボス ( Davos ) 、シュクオル ( Scuol ) 、ブラウエンヴァルト ( Braunwald ) の3カ所で、人工降雪が及ぼす地域経済と環境への影響を調査した。

人工雪の使用による経済効果を把握するため、調査はダボスで付加価値分析を行った。そこで、冬季観光業の直接的な需要だけで、ダボス地域の国民所得の26%を占めていることが分かった。同様に、登山鉄道による収入は5%を占める。雪不足の冬に人工雪を使用しないと、地域の国民所得の最高10%の損失を生じることになる。これは、6000万フラン ( 約59億円 ) に相当する。

標高1500メートル以下は厳しい

予測通りに冬の気温が上昇すると、2050年までには、標高約1500メートルにあるスキー場で、スキーをするのに十分な自然積雪は部分的にしか保証されないという。

一方で、気候条件の変化の下では、人工雪を使用できる可能性が明らかに低くなる。今日の技術では、クリスマス前のシーズン開始までに、標高1500メートル以下のコースで滑走可能な積雪量を人工的に作り出すことが難しくなる。

そのため報告書は、新しい登山鉄道や人工降雪機を計画する際には、降雪日数だけでなく人工降雪の可能な日数の将来的な減少も考慮しなければならないと指摘する。

水の大量消費

人工雪に代わり、効率の良いスキーリフトへの投資を考慮に入れるよう報告書は提案する。ダボスの場合を例にとると、人工降雪に使われるエネルギー消費量は、同地域のエネルギー総消費量の約0.6%にあたる。

比較してみると、住宅におけるエネルギー消費量は30%以上に達する。しかも、人工降雪に使われる水の量は調査地域の水総使用量の30%を占めている。冬は一般的に水位が低くなるので、残された水量を守ることは環境面で非常に重要となる。

積雪量が全てではない

ダボスやシュクオルのような高地では、人工雪が冬の観光業を助ける手段になるという調査結果が出た。しかし、人工降雪機の使用を計画する際には、環境面での影響や経済効果が慎重に調査されるべきであり、特に地域的特色が活用されるべきだと結んでいる。

観光客を対象としたアンケートも示すように、観光客が行き先を決めるにあたり、積雪状況はたしかに大事だが、それが唯一の決め手ではないということだ。

swissinfo、外電

人工降雪

スイスにあるスキーゲレンデのほぼ20%で、人工雪を使用している。
この数字は、今後5年間で2倍、10年間では4倍になるだろう。
人工雪が使われるゲレンデの長さは今後5年間で新たに2倍になると、専門家やケーブルカー部門は計算している。
スイスケーブルカー組合は8億フラン ( 約791億円 ) の必要投資金額を見積もっている。
ベルナーオーバーラントのアデルボーデン ( Adelboden ) とレンク ( Lenk ) の間にあるスキー場では、現在すでに、ゲレンデの60%に人工雪を使用している。
スイスは人工降雪機を大量に導入しているが、ほかのアルプス諸国と比べると、まだその数は少ない。
オーストリアではゲレンデの50%以上に人工雪を使用しており、イタリアではすでに80%近く、フランスではほぼ66%になる。

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