日本人「女性であれば誰もが悩む」

アベル美穂さん Miho Habel

1997年に全日本空輸(ANA)のジュネーブ支店を立ち上げ、以来約23年間、支店のトップとしてスイス市場を開拓してきたアベル美穂さん(57)。子育てとの両立は「家族の支えがなければここまで来られなかった」と振り返る。

このコンテンツは 2020/08/06 11:29

日本の大学で外国語を学び、外国語を生かした仕事がしたいと1985年、ANAに入社。キャビンアテンダントとして働いた後、旅先で知り合ったスイス人の夫と結婚。退職して夫の地元ジュネーブに移住した。

その後別の航空会社に勤め、息子の出産を機にいったん仕事から離れた。だが古巣のANAからジュネーブ支店の立ち上げに協力してほしいと請われ、引き受けたという。

スイス拠点とはいえ日本企業のため、日本の働き方を求められた。残業は当たり前。まだ幼い一人息子を午後8時に寝かしつけ、オフィスに戻って深夜0時過ぎまで働くこともざらだった。国外出張や会食の付き合いも少なくなかった。

だが、夫はそんなアベルさんに一言も文句を言わなかった。自身もジャーナリストで不規則な勤務が当たり前だったからだ。夫の両親も、息子の世話を快く引き受けてくれた。

それでも多忙を極める生活で息子と十分向き合ってやれず、自責の念にかられることはあったという。アベルさんは「家族と夫の理解があったからここまでやってこられたが、家庭と仕事のバランスは女性であれば誰でも悩むと思う」と話す。

そんな息子も28歳になり、この20年でジュネーブ支店の売上は立ち上げ当初から16倍に伸びた。過労で倒れたこともあるが「試練を乗り越えた時の嬉しさがばねになる。仕事は自分の人生を豊かにしてくれるもの」と振り返る。

過去20年で女性の社会進出は確かに増えたが、スイス女性は家庭を大事にする人が多い印象だという。ただ「スイス女性のキャリアアップを阻む要因は、他国の女性に比べて大学進学率が低いことも背景にあるのではないか」と話す。

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