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未成年者の暴力

青少年の暴力は過激化の傾向にある (イメージ写真)

(Keystone)

統計上、増加している未成年の暴力。増加しているというだけではなく、未成年者の犯罪に以前にはなかった特徴が指摘されている。無差別に暴力をふるわれる被害者。死にいたる事件。残忍さを増した犯行が目立つ。

もっとも、日本のように犯行理由がはっきりしないのではなく、失業している未成年がお金ほしさに恐喝をするという例が多いのがスイスの特徴。不景気も背景にあるようだ。

チューリヒ州のエフレティコン市。16歳の少年が5人の若者グループに絡まれた。いきなり、グループの一人が、16歳の少年を棍棒で殴り続け、被害者の少年は頭や身体全体を打撲し病院に担ぎ込まれた。5人組が奪った物は、リュックサック、現金、身分証明書そしてCDプレーヤーだった。犯人グループはスイス人4人とイタリア人1人で、被害者と同年齢。事件直後、逮捕され犯行を自供した。
「週末になると青少年が同年代の青少年を狙い暴力を振るって恐喝する事件が3,4件は発生する」
とチューリヒ市警察は実態を語った。

暴力が日常茶飯事に

 統計上、青少年の傷害事件は増加の傾向にある。20年前は25件に1件だった未成年者による傷害犯罪は、現在5件に1件となっている。こうした傾向はスイスのみならず、ヨーロッパ全体でみられ、1980年代後半から90年代にかけて急激に増加した。増加の理由は明らかではない。
「増加しているというが、相対的なものであろう」
と連邦統計局の法律関係の統計を担当しているダニエル・フィンク氏。
「学校の校庭や休み時間に暴力が以前より増えたのか。それとも、通報が増加し、裁判が多くなったのかの実態はわからない」
と市民は暴力に対して敏感に反応し、警察への通報も簡単になされるようになったと同氏は見ている。以前は、生徒たちの暴力は学校の先生が解決していた。しかし、いまは、学校の役目は軽くなり、即、家裁の青少年担当官に任されてしまうようになったという。

外国人の未成年の犯罪は多いのか

 人口の2割が外国人で、しかも、戦争などから逃れて来た難民も多い。彼らは暴力を身近に知っており暴力に鈍感なため、外国人が犯罪を起こすという印象が持たれやすい。しかし、未成年の犯罪を分析すると、単純に外国人が犯人とは言えないことが分かる。

 外国人の子どもが全体の35%から40%と高い割合を占めるジュネーブ州では、外国人未成年の犯罪はほとんど見られない。一方、外国人未成年が犯した事件は、ルツェルン州やアッペンツェル・インナーローデン州はそれぞれ、スイス人の未成年者による事件より3倍および2倍にも上る。

 ルツェルン州の未成年者による犯罪の裁判をする青少年裁判所のウルス・バウメラー判事によると、地方の事情が大きく影響していることが分かる。ルツェルンの工業地帯には伝統的にバルカン諸国からの労働者とその家族が多く住んでいる。すっかりスイスの文化に溶け込んだ2世、3世たちだが、不景気の折、解雇されるのはまず外国人で、失業した外国人の青少年が多いのが特徴。
「夜と昼が逆になった生活をし、夜にはお金のかかる娯楽に走る」
とバウメラー判事は、お金欲しさの犯行が目立つ語った。さらに、傷害事件につながる理由を同判事は、
「このごろの若者たちは、簡単に傷つきやすい。口論になる前に手と足がさき動く」
とも指摘している。

数字より内容 残虐さが増した

 先週末にはベルン州で、未成年者の2つのグループ同士が乱闘。今週にはフリブール州では刃物で負傷した16歳の未成年が死亡。6月1日に起こったイヴェルドン市での未成年同士の傷害事件では死亡者を出した。2週間前にはフラウンフェルト市で2人の未成年が病院に担ぎ込まれるなど、最近は殺人事件に至る事件もふくめ、多くの未成年者による事件が報道されている。
 
 チューリヒ市警察の少年課のクラウス・ローナー氏によれば、
「仕返しが怖くて、届け出を控える人が多い。届け出るようにと勧めても、泣き寝入りが多い」
と統計に隠れてしまう事件の件数も実際は多く、統計上の数字は実態を示していないと指摘している。 

 未成年の犯罪の大半は、万引きやマリワナを吸うなど軽犯罪で、暴力を振るっても軽傷を負わせる程度だ。しかし、今年5月11日には、ベルンで40歳の男性が金目当てに7人の未成年者たちに殴られ頭蓋骨骨折の重傷を負う事件にも見られるように
「質的にも変化している」
とローナー氏。

 統計局のレナーテ・シュトルツさんは、
「個人的な印象だが、殴られてすでに血を流している被害者をさらに殴りつづけるといった、以前にはなかった暴力が増えている」
と最近の未成年の暴力に残忍さが増したと見ている。 

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

キーワード

未成年(18歳未満)の犯罪件数

1999年 1233件

2002年 1372件                        

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補足情報

未成年の犯罪は大半が盗みやマリワ吸引など軽犯罪。

暴力を伴う犯罪でも、軽傷を負わせる程度が大半。

被害者も同じ未成年であることが多い。

未成年による暴力犯罪は未成年の犯罪の11%を占める。

マリワナなど軽麻薬犯罪 37%

盗み 28%

物品破損 14%

軽傷犯罪 2.7%

重傷犯罪 3.5%

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