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砂漠の太陽をヨーロッパに?

デセルテックにさきがけ、カリフォルニアの砂漠では世界最大規模の太陽エネルギー設備が操業している Keystone

21世紀には世界の人口が100億人を超えると予想されている中、今後、持続的にエネルギーは供給できるのか。現在は約68億人が地球上に住み、エネルギーはすでに不足している。

このコンテンツは 2010/04/04 15:25

エネルギーの供給問題に取り組む独立機関「スイス・エネルギー基金」は3月25日、砂漠から太陽エネルギーを輸入する計画「デセルテック( Desertec )」を紹介し、専門家を交えた討論会を開いた。

技術はすでにある

デセルテックは、発電大手スイス・スウェーデンの「ABB社」、スペインの「アベンゴアソーラー社 ( ABENGOA Solar ) 」、「ドイツ銀行 ( Deutsche Bank ) 」、「ミュンヘン再保険 ( Münchner Rückversicherung ) 」、「ジーメンス社 ( Siemens ) 」などヨーロッパの大手企業がかかわり、2050年のヨーロッパ内のエネルギー需要の15%、およそ100基分の原子力発電所の発電量を供給することを目標としている。ソーラーパネルなど施設に必要とする面積は、約2500平方キロメートル。砂漠だからこそ可能なプロジェクトだ。予算4000億ユーロ ( 約50兆円 ) とその大規模さで、ドイツでも話題になっている。

太陽エネルギー発電の方法は3種類。湾曲した光反射パネルで太陽光線を一点に集め、その焦点に設置されたパイプに流れるオイルを摂氏500度まで上げてエネルギーを発生させるパラボリンネン発電プラント、巨大な塔にソーラーパネルを搭載したプラント、リネア・フレスネル鏡型発電プラントが提案されている。

すでにスペイン南部のアルメリア県では、こうした設備で太陽エネルギーを発電している。デセルテックに深くかかわってきたエネアス・ヴァンナー氏によると、発電コストは1キロワットで0.05ユーロ ( 約6.25円 ) になる見込み。これに電気配送料が加算される。
「すでにサハラ砂漠からのケーブルは存在するが利用されていないだけ。また、エネルギーを輸送する技術もある」が、価格競争に耐えられる0.10ユーロ ( 約12.5円 ) まで全コストを下げるためには、大量のエネルギーを生産する必要があるのだという。

国際的協力と北南問題

技術面での問題は、現在すでにクリアしているというが、政治的問題は残る。

スペインで1.5ギガワットを生産する太陽エネルギー発電所はドイツの資本が頼りだ。エジプトで計画されている塩タンクによるエネルギー貯蓄施設もドイツの技術が投入されている。モロッコへもヨーロッパの資本が狙っているというのが現状で、再生可能なエネルギー市場も、国境を超えたビジネスになっている。石油やガスを輸入するのが当たり前になっているヨーロッパ諸国が、アフリカからの太陽エネルギー供給に投資することは、エネルギーの自給自足をさらに難しくする。

しかも、ヨーロッパより2.5倍効率が高い太陽エネルギー生産地域は、途上国にある。人道援助団体の「ベルン宣言 ( Erklärung von Bern/EVB ) 」を代表し25日、デセルテックのパネルディスカッションに参加したクリスティネ・エベーライン氏は
「アフリカに住む85%に当たる人が、電気がない生活を強いられている。北アフリカでさえ50%がそうだ。デセルテックで発電したエネルギーを、地元の人たちに送電する設備に投資することに興味を示す地元の政治家はいるだろうか」
と言う。欧米諸国がアフリカから資源を取りたいだけ取った「植民地時代」の二の舞になる危険性を挙げ
「ヨーロッパ諸国だけが有利になることの内容、地元が豊かになる条件を太陽エネルギー生産国につける必要がある」
とプロジェクトには批判的だ。しかも、契約を結ぶ各国政府が民主的でなければ、こうした条約も効果がないとダメ押しをする。

一方、「ベルン発電 ( EVB ) 」の国際エネルギー部長のサムエル・ロイポルト氏は
「多くのヨーロッパ諸国がロシアからガスを輸入しているが、その代金がどのように使われているかは誰も問わない。すべての問題を解決する方法などない」
と語り、ベルン宣言エべーライン氏のような要求を満たすことは難しいとの意見だ。

国内の供給の可能性

60年前からソーラーパネル技術を専門とするTNC社の社長トマス・ノルトマン氏は、スイス国内での可能性を主張する。自給自足率が高くなれば、供給の安全も確保できるからだ。
「設備は安くなる一方で、スイス国内で投資した方が安くなる可能性もある」
と将来のコストダウンを示唆する。さらに、スイスは水力発電で6割の需要をカバーしていることを挙げ、水力発電へのさらなる投資の可能性も指摘する。

ロイポルト氏も投資家としての観点から
「国内に投資する方が、リスクが少なく、見通しがきく」
と語り、デセルテックへの投資は今のところ見合わせるという。

いずれにせよ、エネルギー供給がその方法と供給元の選択肢が広がることは、需給を安定させる要素だという意見でパネルディスカッションに参加した4人は一致した。

佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch

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スイス電力ミックス

スイスの発電の55%は水力発電、40%は原子力発電に頼っている。その他2%はバイオマス、風力、太陽など再生可能エネルギーが占める。冬季にはフランスの原発から電気を輸入している。スイスには5基の原発がある。
需要をカバーするためには、新たな原発やガス混合発電所などが必要になると言われる。

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