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肩に食い込むランドセル

宿題が小学生の肩に重く食い込む Keystone Archive

重いランドセルはスイスの親の心配の種。ジュネーブの小学生たちはこの問題をめぐってデモでもやりかねない気配だ。

このコンテンツは 2007/10/26 15:25

体への荷重が体重の15%を超えると子どもの健康が損なわれる。キャンペーンでこのように警告されているにもかかわらず、子どもたちは今もなお重いカバンを背負い続けている。

秋の新学年が始まり、学校に行き帰りする小学生の姿をあちこちのバス停で見かける。あっぱれな彼らは、あふれるほどの教材を詰め込んだ大きなランドセルに押しつぶされそうだ。

重みのある言葉

バーゼル・シュタット州で校医を務めるトーマス・シュテフェン氏が語る。「この問題は、保護者からよく聞かされています。ランドセルを購入するときには、人間工学的にデザインされた良質の物を選ぶべきです。子どもたちにはまた、早い時期から背中を大事にすることを学んで欲しいですね」

スイスの小学生が、まるで荷馬のように重い荷物を背負っている理由は幾つかある。「ドイツ語圏には、教科書を収納する戸棚を設置している学校はほとんど見当たりません。ですから、子どもたちはいつも教科書を持って帰らなければならないのです。また、今の教科書はずいぶん重くなったという教師も少なくありません」

そのため、学校へ持っていく物は何かということを、保護者や教師がもっと考えるべきだとシュテフェン氏は言う。「ある教師から聞いた話ですが、彼が受け持つクラスのある小柄な生徒は毎日辞書を3冊持ち歩いていたそうです。その生徒は、辞書は絶対にいるものと思い込んでいたのです」

アールガウ州で学校衛生相談役を務めるドミニク・ヘッガー氏もこの意見に賛成だ。「宿題を出すとき、教師は子どもたちが行うべき課題だけではなく、彼らが家へ持って帰る教材の量についても考えるべきです」 だが、ヴォー州義務教育制度教育部長のシレット・クレトン氏は「生徒の側にも考えるべき点はある」と言う。「忘れ物を恐れるばかりに、教科書やノートをすべて持ち歩くのはやめるべきです。そうすれば、カバンの中に詰め込まれている不要なものをすべて取り除けます」

痛み

チューリヒ州で行われた調査によると、10歳児と11歳児の100人に1人が背中の痛みを訴えている。この数字は年齢が上がるにつれて増え、バーゼル・シュタット州が今年実施した類似の調査でも、14歳から15歳の生徒のうち24%が背中に痛みを感じていることがわかった。原因はやはり重すぎる学生カバンだとみられている。

前出のシュテフェン氏は、「背中などの痛みは思春期に始まるのが典型的。それ以前の子どもたちは痛みを相殺させることができるのです」と話す。

このような痛みは成人になっても続くことがある。連邦労働安全調整委員会 ( EKAS/CFST ) は10月18日、スイスの労働者の5人に1人が背中に問題を持っており、これが国内経済に与える影響は年間30億フラン ( 約2960億円 ) に上ると警告した。

正しく座る

しかし、若年層に見られる背中の痛みの原因は重いランドセルや学生カバンだけではない。シュテフェン氏は、子どもたちの生活が座りっぱなしになっていることを指摘する。「日ごろからよく動く子どもたちにはあまり問題がないことが最近の調査で分かっています」

また、背中を痛めない正しい座り方を覚えることも大切だ。「学校にも最新オフィスのようにフレキシブルチェアなどを取り入れるべきです。方向としては徐々にそうなりつつあります」

swissinfo、シモン・ブラッドリー 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳

補足情報

- 背骨は、頭骨と骨盤の間に脊椎骨と呼ばれる24個の骨が積み重なってできている。

- 各脊椎骨の間には強力なクッションの役目を果たす海綿状の椎間板があり、これが衝撃を吸収し、背骨に柔軟性を与える。

- 背骨にかかる圧力や緊張の主な原因は、前かがみで椅子に座ったり、車を運転したりする、悪い姿勢で立つ、物を持ち上げるときの姿勢の悪さ、柔らかすぎるベッド、無理のし過ぎなど。

- 先進国では国民の8割が背中の痛みをすでに経験している。1年間に背中に痛みを感じたことがある成人は全体のおよそ半数 ( 15%から49% ) に及ぶ。

- 背中の痛みは年齢とともに増加する。学齢期の子どもに始まり、ピークは35歳から55歳の成人。青少年から成人に至るまで共通して見られる問題だ。

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