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スイスでも白熱電球禁止へ

Keystone

電球の電力消費量は、スイスの家庭での全電力消費量の15%を占める。明りの分野でエネルギーを節約し、省エネランプへ移行することは、環境問題において非常に重要だ。

電球の電力消費量は、スイスの家庭での全電力消費量の15%を占める。明りの分野でエネルギーを節約し、省エネランプへ移行することは、環境問題において非常に重要だ。

8割も電力を節約

 欧州連合 ( EU ) は2009年9月1日から、100 ワット白熱電球の製造停止と輸入のストップを行った。また、2012年までには全ての白熱電球が使用禁止になる。白熱電球にとって代わるのが、蛍光灯、電球型蛍光ランプ、ハロゲンランプなどの省エネランプ。8割も電力を節約できる。

 一方EUに属さないスイスは、
「連邦政府は、2009年の初めにすでにスイスの電球に関する新しい規定を設定した。スイスは EU と方法は異なるが結果としては同じ地点に到達する」
 と連邦エネルギー局 ( BFE / OFEV ) の広報担当、マリアンヌ・ツゥント氏は解説する。

 スイスは、2009年1月1日から、白熱電球の中でも効率の悪いF、 G のカテゴリー ( Aが最も効率が良い ) の販売を禁止した。さらに、100ワットランプについてはEUと2010年9月から足並みを揃え、2012年からは、Dカテゴリーに属するものだけが販売を許可される。

 EUと異なるのは、スイスでは販売店にある在庫品を販売できないことだ。しかし、大型の販売店は独自の路線を行き、例えば大手スーパーマーケット「コープ ( Coop )」はEUの規定に従い、「ミグロ ( Migors ) 」は全ての白熱電球の販売を禁止し、両スーパーとも省エネランプ販売に力を入れる。

長期的には節約

 一方、環境保護団体「世界自然保護基金 ( WWF ) 」の消費、生活スタイル課長、フェリックス・マイヤー氏は、
「省エネランプへの移行で、スイスの家庭の電気消費を10%から15%節約できるとしたら、それは大きいことだ。もちろん環境保護にも繋がる。省エネランプは多少高額だが耐久性があるので、長期的にみれば、1つの電球につき100フラン ( 約8700円 ) は節約できる。消費者はできるだけ早く、省エネランプを買うべきだ」
 と語る。

 WWFによれば、スイスで現在販売されている電球の15%から20%が、省エネランプだという。

 ただ、人々の中には古い電球に対する郷愁のようなものもあり、コープではわずかに古い電球の販売がこのところ伸びた。

「省エネランプへの移行は新しいもので、一般の消費者はそれに慣れる必要がある。新しい技術が導入されたときには、いつもそうだが時間がかかる」
 とツゥント氏は語る。

95%が熱となって消える

 伝統的な白熱電球は、1879年にトマス・エジソンが発明した当時から、ほとんど進歩していない。50年前に効率性の進歩は限界に達し、現在の白熱電球は、エネルギーの95%が熱となって消え、残る5%のみが光に変わる。

 省エネランプへの移行を決定したのは、スイスやEUだけではない。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、フィリピンなども白熱電球を禁止するか、販売に制限を加えると発表している。

「世界的規模から見ると、省エネランプへの移行は非常に大切なことだ。世界のエネルギーのおよそ2割が光に使われている現状で、もし省エネランプ使用で支障がなく、白熱電球より8割も電力を節約できるのなら、これほど良いエネルギー節約方法はない」
 とマイヤー氏は省エネランプへの移行を力説する。

swissinfo.ch、イザベル・レイボルド・ジョンソン
( 英語からの翻訳、里信邦子)

改定されたエネルギー法令は、初めて電球に関する規定に言及した。これに従い、2009年1月1日から、全ての白熱電球の中でも効率の悪いF、 G のカテゴリー ( Aが最も効率が良い ) の販売を禁止した。

EUの電球に関する既定と2010年9月1日から足並みを揃え、2012年からは、Dカテゴリーに属するものだけが販売を許可される。

こうした規定は販売店のみに適用され、古い白熱電球をインターネットやブラックマーケットで手に入れる個人は罰せられることはないと、連邦エネルギー局は述べている。
 

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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