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モスクワ劇場占拠:スイス人医師、人質ケアに派遣

劇場に入る交渉人。10月24日。 Keystone

23日夜起きたチェチェン武装勢力によるモスクワ劇場占拠事件で、ロシアの要請を受けスイスの医師が人質ケアのために派遣されることになった。

外務省によると、医師2人(1人は精神科医)は25日にモスクワに向かう予定。

マニュエル・サガー外務省報道官によると、ロシア当局および外交筋はスイスに支援要員の派遣を依頼している。現場ではすでにロシアからの要請を受けた赤十字国際委員会(ICRC)のミシェル・ミニグ駐モスクワ事務所首席代表が、武装勢力との交渉にあたっている。24日から交渉にあたるミニグ氏は、これまで3回にわたって劇場内で人質となっている約700人に医薬品を届け、5人の人質を(子供3人、女性1人、男性1人)解放に導いた。

人質の中にはスイス、独、英、オランダ、オーストリア、オーストラリア、アゼルバイジャン、ブルガリア、ベラルースなど75人の外国人がいるとされ、一時これら外国人全員の解放が伝えられたが延期された。

劇場を占拠する武装勢力はチェチェン人を名乗り、チェチェンからのロシア連邦軍撤退を要求している。武装勢力の一部は体に爆薬等を巻き付けており、人質と共に自爆する覚悟だと伝えられる。ロシアはICRCに対し、ミニグ氏の武装勢力との交渉を依頼した。ICRCは職員にこのような状況での交渉役をさせないのが基本方針だが、ミニグ氏は3回にわたって武装勢力と人質に医薬品を届け、解放された人質を連れ戻した。

ミニグ氏は、96年ペルーの「トゥパク アマル」による日本大使公邸占拠事件でも政府側と犯人側の交渉の仲介をつとめた。事件発生当時、ICRC駐リマ事務所首席代表だったミニグ氏は、ペルー政府が服役中のゲリラ440人の解放を拒否したにも関わらず当初700人いた人質のほとんどの解放に成功し、占拠126日目に政府軍が突入した時には公邸内に残っていた人質は72人だった。政府軍の突入で、ゲリラ14人、人質1人、政府軍兵士1人が死亡した。ミニグ氏は、結果には複雑な心境だが、自分の果たした役目は中立な仲介役だったと信じていると述べた。

ミニグ氏は97年ペルーからイラクに移動、3年前からはICRCモスクワ事務所首席代表を務める。ロシア刑務所のチェチェン人服役囚を訪問するのは、ICRCモスクワ事務所の任務の1つ。

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