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「チェルノブイリを忘れるな」スイス、チェルノブイリ・サイト開設

www.chelnobyl.info www.chelnobyl.info

チェルノブイリ原発事故に関する情報を配信するスイス開発協力局(SDC)のウェブサイト、www.chernobyl.info が開設された。

「惨劇は終っていない。そして後遺症・影響は管理下にあるというにはほど遠い。このサイトはチェルノブイリ原発事故を忘れないという宣言だ。」とスイス開発協力局(SDC)のウォルター・フスト局長はいう。旧ソ連・チェルノブイリで起きた史上最悪の原発事故が起きたのは1986年4月26日、16年前だ。が、放射能汚染地域に生活する人々への長期的な影響については、今でも推定の域を出ない。医療専門家らは、住民への影響が出るのはこれからだと見ている。ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの放射能汚染地域の住民達は、血液、消化器官、神経の障害に苦しんでいる。奇形その他の先天性異常児の生まれる確立も高く、乳がん、肺がん、胃がん、泌尿器・生殖器がんも今後さらに増加すると推定される。

チェルノブイリ・サイトの開設にあたり、ベラルース・イゴフカ村の少女が母親になることに恐怖を感じていると語るフィルムが上映された。「人々は大きな苦痛と恐怖に苛まれている。誰もが日常生活におけるチェルノブイリの影について語る。」と大島賢三国連事務次長はいう。チェルノブイリ原発事故以来、健康、生態系、経済への影響について信頼のおける情報を入手するのが大変困難だったと、サイト関係者らはいう。チェルノブイリ原発事故関連の死者に関するデータベースは、相対立する利益グループの論争の場となっている。旧ソ連当局による事故処理は、被災地住民に懐疑という遺産を残し、住民達は提供されるどのような情報も信じなくなった。

SDCが新設したサイトは、16年前のチェルノブイリ原発事故以来、放射能汚染の深刻な後遺症に苦しむ何百万人もの人々のための人道援助、持続可能な開発における国際的な関心を復興しようという国連の政策の一環だ。汚染地域住民のための経済開発、社会開発への単純な援助から、正しい情報提供という形での援助へ切り替えていこうというのが国連の新たな政策だ。「メディアの報道がほとんどないため、チェルノブイリ被害者への国際援助は涸渇している。」というフストSDC局長によると、提供される情報は、各利益グループが現地の本当の状況を誇張したり過小評価したりするため信頼できないという。「援助をしようとしている人々は信頼のできる情報を必要としている。情報に基づいて援助割り当てを決めなければならないからだ。」とフスト局長は説明する。サイトは、そのような意志決定機関に対し、英語、独語、ロシア語で、中立で信頼できる独立した情報を配信する。また、被災地域の住民に放射能汚染の影響に関する情報や援助プログラムなどについての情報を提供することも、サイトの目的の一つだ。SDCは、ユーザーの情報へのハイスピード・アクセスを確保するため、キエフとミンスクの国連開発計画(UNDP)事務局にサーバーをセットした。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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