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「フィールドでは単にA対B」

「私もやはり人間」。マッシモ・ブサカ審判が中指を突き立てるジェスチャーをしたことについて Keystone

観客に向かって中指を突き立て、3試合の出場停止を言い渡されたスイス人サッカー審判員のマッシモ・ブサカ氏が、サッカーの2009年世界審判賞を受賞。2月6日の彼の41歳の誕生日前のプレゼントとなった。

このコンテンツは 2010/01/16 15:25

スイス国内では伝説的といわれるウルス・マイヤー氏さえ世界審判賞では2位にしかなれなかった。ブサカ氏はいま、FIFAワールドカップの決勝戦で、主審になることを夢見ている。

中指ポーズでも受賞

ブサカ氏は受賞の喜びを隠さない。昨年9月、スイスカップのFCバーデン対ヤングボーイズ戦でファンに挑発され、中指を突き立てる屈辱ポーズで応じ、スイスのドイツ語圏のサッカーファンやマスコミから非難されたが、そのドイツ語圏から多くの祝いの言葉が寄せられたことが誇りだ。

中指を突き立てたと指摘され、最初は否定したもののその後認め、謝罪した。スイスサッカー協会の審判委員会は彼の行為に対し、3試合の出場停止処分を言い渡した。「ブサカ事件」は国外でも大きく報道された。

「自分がやったことは、正当化できないことだ。私も人間だということだろう」
と言う。この事件がもし何か良いことをもたらしたとしたら、それは、言葉や腕力による暴力がサッカー場にあるという事実が広く知られたことかもしれない。スイスでサッカーの試合が警察の力を借りないと開催できないというのは恥ずかしいことだという。

中指突き立てポーズは彼のまっすぐなキャリアの唯一の汚点だ。選手としては二流と自ら認めるブサカ氏は、地方のチームからBリーグを経た後、1996年、スイスのトップクラスへ昇りつめた。1999年には国際試合へ進出し、2006年のワールドカップで唯一、スイス人の審判として活躍した。スイス、オーストリア共同開催の欧州サッカー選手権「EURO2008」では、準決勝のトルコ対ドイツ戦の主審を務めた。

ロナルドにイエローカード

特に評価されたのは2009年5月のチャンピオンズリーグの決勝戦、バルセロナ対マンチェスター・ユナイテッド戦で、ロナルドにイエローカードを渡した時だった。大スターに対しても公平。「フィールドでは、A対B。それ以上のものではない」と言う。

国外の評価の方がスイス国内での評価より高いとは思わないという。「5年連続でスイス審判賞を受賞していますから」。しかし、スイスの審判が置かれた環境には不満で、以前から批判してきた。サッカー選手と比較して悪く、国際的に活躍しているブサカ氏でも、ティチーノ州政府の食堂の責任者として半日の副業を持つ。

審判を審判

サッカーの審判の仕事が高度なプロの仕事であるということが、非常にゆっくりとではあるが、段々と認められてはきている。これに寄与したのは映画「審判を審判 ( Les arbitres – Schiedsrichter im Visier」( 2009年 ) 。スイステレビでも放映された。

映画の中で、ブサカ氏のフィールドでの仕事ぶりが映されている。笛を鳴らしたり、怒鳴ったり、笑ったりする。一部のほかの審判とは異なりブサカ氏は、フィールド上では高飛車でもなく独裁的でもないが、毅然としながらコミュニケーションを上手に取り、選手をなだめたりさえする。

頑張り屋で目的を持っているのがブサカ氏だ。今年、南アフリカで開催されるワールドカップで、決勝戦を審判する夢があることを隠そうとはしない。もちろん「スイスチームが決勝進出しない限り」と言う。高い夢を持つ一方で、控え目でもある。試合の前には必ず十字を切り「自分には限界がある。神の恵みがありますように」と祈るのだ。

ゲハルト・ロブ、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )

国際サッカー歴史統計連盟 ( IFFHS )

1984年3月27日ドイツのライプチックに創立されたが、現在はボンに移転した。会員は120カ国からサッカーの専門家約200人。連盟の会長はドイツ人のアルフレド・ペンゲ氏。
IFFHSの活動の趣旨はサッカーを包括的に記録すること。世界ゴールキーパー賞と世界審判賞を設けている。授賞の基準については、特にドイツで疑問視する声もある。財政難と闘っているとペンゲ氏が自ら証言している。

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世界審判賞

2009年はマッシモ・ブサカ氏で252点。2008年はイタリアのロベルト・ロセッティ氏で147点。2007年はイギリスのハワード・ミルトン氏52点だった。
1987年から2008年まででみる永久審判のランキングでは、イタリアのピエールルイジ・コリナ氏が1位。スイスの最高得点者はウルス・マイヤー氏で10位。
ブサカ氏の授賞式はロンドンで2月1日に行われる。

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アマチュアの審判が多い

審判になりたい若者は多い。最年少は13歳で、C-ジュニアリーグで審判をすると1回につき70フラン ( 約6300円 ) が支払われる。しかし、審判として選抜されキャリアアップしても険しい道が待っている。チャレンジリーグでの審判は1回につき500フラン ( 約4万5000円 ) と雑費が支払われる。スーパーリーグになると1000フランに1等車の電車料金代。チャンピオンリーグでは7500フラン ( 約67万円 ) とファーストクラスのフライトチケット代が支払われる。スイスにはプロはいない。スイス審判協会の会長ウルス・マイヤー氏は審判のプロ化計画を構想中。3人をプロとし、ほかの審判も副業の2割軽減を目指す。

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