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クレディ・スイス リスク圧縮で赤字へ



「業績は期待外れ」とブレイディ・ドゥーガンCEO

「業績は期待外れ」とブレイディ・ドゥーガンCEO

(Keystone)

クレディ・スイス(Credit Suisse)は2011年第4四半期に6億3700万フラン(約540億円)の「残念な」赤字となった。投資銀行部門の不振が一因だ。

ブレイディ・ドゥーガン最高経営責任者(CEO)は「市場の逆風」を減益の理由とする一方、投資銀行部門の急速な縮小に約10億フラン(約850億円)のコストがかかったことも原因だと認めた。

 2月上旬に行われた業績発表で、クレディ・スイスは2011年10月から12月までに投資銀行部門から350億ドル(約2兆7370億円)のリスク資産を削減できたと公表し、傍聴者を驚かせた。

 また、新しい規制要件を満たすためのリスク圧縮計画は予定通り進んでいると話した。

 クレディ・スイスは昨年11月、2012年末までにリスク資産を2290億ドル(約18兆円)に減らすと発表。現在、この目標は4月までに達成できる見込みで、今年末までにさらに1900億ドル(約15兆円)を削減する計画だ。

より良いビジネスのために

 リスク資産の売却を早める決定をした理由についてドゥーガン氏は、ライバル銀行も同様の措置を開始したためにリスク資産の売却がより困難になり、またコストもより多くかかるようになったと述べている。「リスク資産を早めに売却すればコスト効率が上がり、ビジネス環境の改善につながる」。規制実施の期日近くになって市場にリスク資産を吐き出す銀行が増えると、売り手の立場が弱くなり、取引は買い手に有利になるとみている。

 2008年以来の巨額の赤字には、投資銀行部門の収益が64%減少したことも響いている。

 クレディ・スイスは人員削減にも着手しており、2013年末までに従業員数の3%を減らす予定だ。

 昨年1年間の純利益は前期比62%減の19億5000万フラン(約1600億円)となった(2010年純利益は51億フラン/約4330億円)。同行は4月に、1株当たりの配当を1.30フラン(約111円)から0.75フラン(約64円)へ下げる提案をする予定だ。

 市場予想では第4四半期の損失が4億3100万フラン(約366億円)になると見積もられていたが、今回はそうした予想を大きく下回る結果となった。

恐れることはない

 朗報もある。富裕層からの新しい資産が40億フラン(約3400億円)流入し、ライバルでスイス銀行最大手のUBSの31億フラン(約2630億円)に大きく差をつけたことだ。

 UBS同様、クレディ・スイスの新しい資産は新興市場や大富豪からのもので、両行ともこうしたターゲットへの戦略を新たにしている。

 他方、UBSとは違い、クレディ・スイスは脱税ほう助の疑いでいまだにアメリカ当局に目を付けられている。

 アメリカ当局と裁判で争わなければならない可能性もあるとして、クレディ・スイスは昨年の第3四半期にその費用として2億9500万フラン(約250億円)を準備したと公表した。アメリカに顧客情報を今後開示することになるかもしれないが、クレディスイスはすでにスイス政府に顧客情報を渡している。

 スイスの銀行とアメリカとの争いでは、スイスのプライベートバンク「ヴェゲリン(Wegelin)」が先月、脱税ほう助疑惑でアメリカが訴えを辞さない構えを見せたために売却を余儀なくされたという大事件があったばかりだ。しかしドゥーガン氏は、クレディ・スイスがアメリカ税務当局を恐れる必要は全くないと強調している。

 UBSが脱税ほう助疑惑でアメリカ当局と争っていたあいだ、ヴェゲリンやほかのスイスの銀行がUBSの顧客を引き抜いていたとのうわさがある。それに関しドゥーガン氏は「UBSの顧客は一切引き取らないというのが我々のポリシーだった」とそっけなく答えた。

 クレディ・スイスの業績発表があった2日前、UBSの決算報告があった。それによると、昨年第4四半期は前期比76%減の3億9300フラン(約333億円)の純利益だった。昨年1年間の純利益も前年比で33億フラン(約2800億円)少ない42億フラン(約3560億円)となった。

スイス大手銀行が抱える問題

2008年から続く財政危機の影響で、スイスの2大銀行クレディ・スイスとUBSの経営が悪化している。

クレディ・スイスには多少の損失があったものの、ライバル行よりも先に危険信号をキャッチして最悪の事態は免れている。

一方、UBSはヨーロッパで最も財政危機のあおりを受けた銀行で、2007年末から2009年の間に500億ドル(約3兆9100億円)の赤字を出した。2008年には、スイス政府とスイス中銀(SNB)から緊急融資援助を受けることになった。

こうした事態を受け、UBSが掲げる投資銀行部門の拡大計画に対してスイスの政治家やメディア、国民から非難の声が上がっている。また、スイスの伝統的なウェルス・マネジメント(富裕層を対象とした資産管理)が、勢いを増すアングロサクソン系銀行に淘汰されるのでは、と危惧するアナリストも多い。

スイス政府は2月15日、昨年連邦議会が可決した銀行法改正の施行開始日を今年3月1日に決定した。これにより、スイスの大銀行は今年3月1日から2018年までに、リスク資産を自己資本の19%以下に抑えなければならなくなった。自己資本比率の上昇のほか、より厳格な流動性規制の順守やリスク分散の改善もこの改正に盛り込まれた。

両銀行は、こうした厳しい規制が世界中の銀行に適用されなければ、自社の競争力が失われるだろうと主張している。

インフォボックス終わり


(英語からの翻訳・編集、鹿島田芙美), swissinfo.ch


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