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EURO2008優勝はスペインの手に

スペインの主将でゴールキーパーを務めるイケル・カシージャスが優勝カップを高く掲げる Keystone

雷雨の準決勝とは打って変わって暑い日曜日となったウィーン。エルンスト・ハッペル・スタジアムにはドイツとスペインのサポーターの熱い声援が絶え間なく響き渡り、その熱気は少なくともそのまま夜10時半まで続いた。

試合終了のホイッスルが鳴ったとき、こぶしを空高く掲げて歓喜の声を上げたのはスペインの選手たちだった。今大会で最初から最も安定したプレーを見せていたスペイン代表。44年ぶりにヨーロッパ選手権の優勝カップを手にした。

スペインの美しい連係プレー

 試合開始後10分過ぎまではドイツが優勢だった。しかし、その後はスペインがほとんどボールを所持し続け、ゴールのチャンスを数多くつかんだ。23分、ホアン・カプデヴィラのヘッドキックがゴールポストに当たり、惜しくもゴールを逃す。だがその10分後、フェルナンド・トレスが先取点を決めた。前半終了直前にはドイツの圧力が少々増したが、1‐0とスペインのリードで前半45分が終了した。

 後半、ドイツのヨアヒム・レーヴ監督は負傷したフィリップ・ラームに替えてマルセル・ヤンセンを起用。続いて58分にはシステムを変更してケヴィン・クラニーを起用し、フォワードをスタメンのミロスラフ・クローゼと2人に増やした。それ以降はドイツが少々盛り返し、60分前後に集中的な攻撃を加えたが、スペインの守りは堅く、なかなかゴールにつながらない。

 67分、スペインもフリーキック、その後のコーナーキックで再びゴールポストにボールが当たるなど、攻撃の手を緩めない。会場の半数以上を占めるドイツのサポーターは、国家を歌って自国の選手の応援に必死だが、試合は明らかにスペインが優勢だ。同チームのコンビネーションのうまさには定評がある。この決勝戦でも何度か美しい連係プレーを披露してくれた。ゴール前のパスがもう少し正確だったら、もっと得点があったかもしれない。

 正規の試合時間が残り5分となってもドイツはゴールのチャンスをつかめないまま。とはいえ、試合終了間際に得点を入れるのがドイツの得意技だ。スペインは最後まで気が抜けない。ロスタイムは3分。1分が過ぎた頃ドイツに最後のチャンスが訪れたが、ゴール前のパスが長すぎ、0‐1と得点を入れられないまま優勝をスペインに譲った。

 スペインは1964年の自国で行われたヨーロッパ選手権での優勝を除き、これまで1度も準決勝に進むことができなかった。今回の代表はチームワークに優れていると評判で、ドイツのレーヴ監督も「この大会で最も安定したプレーを見せたチーム」と試合前に敬意を表している。一方、スペイン代表のルイス・アラゴネス監督は今年70歳になるが、スペインサッカー連盟の評価が低いことを理由に、この試合を最後にスペイン代表の監督を引退することになっている。

swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )

<予選リーグA>
スイス‐チェコ:0‐1
ポルトガル‐トルコ:2‐0
スイス‐トルコ:1‐2
チェコ‐ポルトガル:1‐3
スイス‐ポルトガル:2‐0
トルコ‐チェコ:3‐2

<予選リーグB>
オーストリア‐クロアチア:0‐1
ドイツ‐ポーランド:2‐0
クロアチア‐ドイツ:2‐1
オーストリア‐ポーランド:1‐1
ポーランド‐クロアチア:0‐1
オーストリア‐ドイツ:0‐1

<予選リーグC>
ルーマニア‐フランス:0‐0
オランダ‐イタリア:3‐0
イタリア‐ルーマニア:1‐1
オランダ‐フランス:4‐1
オランダ‐ルーマニア:2‐0
フランス‐イタリア:0‐2

<予選リーグD>
スペイン‐ロシア:4‐1
ギリシャ‐スウェーデン:0‐2
スウェーデン‐スペイン:1‐2
ギリシャ‐ロシア:0‐1
ロシア‐スウェーデン:2‐0
ギリシャ‐スペイン:1‐2

<準々決勝>
ポルトガル‐ドイツ:2‐3
クロアチア‐トルコ:1‐1、PK戦:1‐3
オランダ‐ロシア:1‐3(延長戦)
スペイン‐イタリア:0‐0、PK戦:4‐2

<準決勝>
ドイツ‐トルコ:3‐2
ロシア‐スペイン:0‐3

<決勝>
ドイツ‐スペイン:0‐1

4 ダビド・ビジャ ( スペイン )
3 ハカン・ヤキン ( スイス )
3 セミフ・シェンテュルク ( トルコ )
3 ロマン・パブリュチェンコ ( ロシア )
3 ルーカス・ポドルスキ ( ドイツ )
2 ダニエル・グイサ ( スペイン )
2 イバン・クラスニッチ ) クロアチア )
2 ズラタン・イブラヒモビッチ ( スウェーデン )
2 ロビン・ファン・ベルシ ( オランダ )
2 バスティアン・シュヴァインシュタイガー ( ドイツ )

1960年 ソビエト連邦
1964年 スペイン
1968年 イタリア
1972年 西ドイツ
1976年 チェコスロバキア
1980年 西ドイツ
1984年 フランス
1988年 オランダ
1992年 デンマーク
1996年 ドイツ
2000年 フランス
2004年 ギリシャ
2008年 スペイン

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