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甘くておいしい、スイスアルプスの青い果実

スイスの山々では毎年5月から6月にかけて、野生のセイヨウスノキが花を咲かせる。その果実であるビルベリーは甘みがあり、鳥、キツネ、クマたちの大好物だ。

7月から8月に果実が成熟したあと、秋には見事な深紅色の葉をつける。商業目的で栽培されるものとは異なり、自生した果実の果汁は指や唇を青く染めるのが特徴的だ。野生種は鉄分、ポリフェノールの一種であるタンニン、そしてビタミンをより多く含有している。

生育に最も適しているのは酸性の砂質土壌で、樹は30~60センチの高さになる。森林や山の高木のない場所に生息し、ビルベリーはハイカーたちのおやつとして人気だ。ただ、キツネやライチョウなど野生動物が食料としているため、自然保護区域内での収穫は禁止されている。

ヒグマもまた、ビルベリーを食べる。スイス人で野生動物の研究者、マリオ・テウスさんは2007年と08年、ゴミなどを漁ることから「問題クマ」グループにカテゴライズされていたクマ「JJ3」を調査。後日、日刊紙ブントに対しこう語った外部リンク。「ある日、私はJJ3がゆったりと果実を摘み取っているのを見た。クマを敵対視する猟師の友人を私の観測ポイントに連れていき、その様子を見せたところ、友人は衝撃を受けていた。この一件で、彼のクマに対する見方が根底から覆えされた。JJ3は凶暴な野獣ではなく、アルプスに暮らす温和なヒグマとして彼の目に映ったのだ」。

それにも関わらず当局は2008年、JJ3の射殺を決定。環境保護活動家たちから批判を受けた。

スイスの食品スーパーは、ほぼ年間を通じてビルベリーを販売している。その需要はとても高く、スイス農家の栽培量は過去10年でほぼ3倍に増えた。17年だけでもスイスのビルベリー畑は12%増え、過去最大規模の93ヘクタールに達した。

(独語からの翻訳・大野瑠衣子)


(独語からの翻訳・大野瑠衣子)

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