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2009年「プラネット・ソーラー 号」世界一周に挑戦

「プラネット・ソーラー 号」での世界一周計画はラファエル・トミヤン氏がアイデアをMWラインに出し、同社が設計を受け持つことになった

今年5月、スイス製ソーラーボート「サン21 ( Sun 21 )号 」が太陽エネルギーだけを使って世界で初めて大西洋横断の快挙を果たした。

このボートを製作したのがヴォー州の会社「MWライン ( MW-Line ) 」。次は「プラネット・ソーラー ( Planet Solar ) 号」で世界一周にチャレンジするという。

 MWラインはヴォー州ヌーシャテル湖畔の小村、イボナン ( Yvonand ) にある。緑の畑に囲まれた工房には、製作中の3艘のボートが並び、何かを削る音が響き渡る。ここはわずか製作技術者4人、経営担当2人の小さな会社だ。しかし、この会社が世界で初めて大西洋横断を果たしたサン21号を製作し、2009年には世界一周も計画している。このチャレンジ精神、会社創立の背景、経営哲学などを聞いてみた。

2人の青年の出会いから

 出迎えてくれたのはヨットマンらしく日焼けしたリシャー・メスプル氏。開口一番、中越沖地震の原子力発電所の事故に触れ「電力を核エネルギーだけに頼るのは危険。環境汚染の観点からだけでなく、産業経済的にも、ある一つのエネルギー源が永久に続くことはあり得ないので、ほかのエネルギーも持たないと危ない」と力説した。

 スイスは再生可能エネルギーの中でも、特に太陽エネルギーのパイオニア国として知られている。メスプル氏は少年の頃からこのエネルギーに魅了されていた。ヨットには、この道のプロに近い2人の祖父の影響で自然に親しんでいった。工科大学卒業のころ、太陽エネルギーで何かできないかと思っていた。

 一方、マルク・ビュスト氏は造船技術者。ヨットで航海も楽しむ。晴天のある日、航海中に風がやみヨットが全然進まなくなった。大型エンジンを掛けるしかなかったその時、太陽エネルギーを使えないかと思いたった。1991年ソーラーボートの試作品を完成。これを聞きつけてメスプル氏が訪ねてきた。

 1992年、2人でMWラインを立ち上げる。当初、彼らの夢のような計画に「人は僕たちを宇宙人と見なしていた」とメスプル氏は笑う。 

 1年後、自然保護団体がヌーシャテル湖の自然保護区見学のための船を注文。波も騒音もたてないソーラーボートは、葦の茂みに巣を作る水鳥たちの邪魔をしない理想的なものだった。しかしこの後、技術的にも、経営的にも困難な時期が続いた。

エコロジー、経済、社会性が一体となった生産

 ようやくスイスでMWラインの名が知られるようになったのは2002年の万博「Expo02」の時。湖に浮かぶパビリオンへ、ソーラーボートで約100万人の観客を運んだ。

 こうした中、今年2007年5月、世界で初めて大西洋横断を果たしたサン21号の注文がバーゼルの「スイス・トランスアトランティック21連盟」から入った。

 大西洋横断成功について尋ねると、1994年にすでにこのチャレンジを考えデザインしたという原画をみせながら「10年も前の夢が実現できてとてもうれしかった。またソーラーエネルギーでこんなことができるのだというメッセージを人々に伝えられたことは大きい」とメスプル氏は顔を輝かせた。

 もちろん、これがソーラーボートの宣伝に貢献したことも否めない。ソーラーエネルギーの船は技術的に信頼のおけるものになったのだ。今まで主に公共交通用の客船を製作してきたが、これからは個人用のボートにも力を入れたいと経営展開を図る同社にとっては二重の喜びとなった。

 「今は15年前に比べて、ソーラーボートの技術が向上し、帆船、モーターボートと比べ、技術的にも価格的にも引けを取らなくなった。ただモーターボートは8時間の航海で燃料費が約40フラン ( 約4000円 )ソーラーボートより 余計にかかる」だから「どの船を選ぶかは個人の哲学の問題になった」とメスペル氏は結論する。

 また彼の経営コンセプトについては「今の時代はエコロジー、経済、社会性が一体となった生産を考えることが大切。エコロジーのために快適さが犠牲になったり、経済的に採算が合わないような生産はしてはならない」という。

プラネット・ソーラー号はF1と同じ

 最後に世界一周の「プラネット・ソーラー 号計画」については「これは今まで話したこととはまったくレベルの違う話。車でいえばF1のようなもの」とメスプル氏の目が輝く。

 使われる材質もF1 のようにハイテックなもので、全長30メートル、3つの船体からなる「トゥリマラン」という構造を持つ。最高時速28キロ、平均時速18.5キロで120日間かけて世界を一周する予定という。20人近い科学者、助言者、技術者などがこの計画に参加する。

 そしてスタートは2009年を予定している。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) イボナンにて

MWライン ( MW-Line )

1992年、リシャー・メスプル氏、マルク・ビュスト氏2人で会社創立。フランス語圏のヴォー州ヌーシャテル湖畔の小村、イボナン ( Yvonand ) にある。

2002年、万博「Expo02」では159日間にわたり、4艘のソーラーボートで観客100万人を輸送した。

2007年5月、同社制作のソーラーボート「サン21 ( Sun 21 ) 号」が大西洋横断に成功。サン21号は全長13メートルのカタマラン( 双胴船 ) で屋根にソーラーパネルがついている。最高時速16,5キロ、平均時速10〜12キロで航海した。

2007年6月、初めて個人用ソーラーボート「T850号」を発表。最高12人まで乗れる。ベットは4つ。台所、トイレがついている。値段は8〜10万フラン ( 約800万〜1000万円 )

2009年には、「プラネット・ソーラー 号」が世界一周に挑む。全長30メートル、最高時速28キロを見込んでいる。

同社は今まで計20艘のソーラーボートを販売し、その内17艘が客船、3艘が個人用ボート。イタリア、フランス、スペイン、イギリスなどで、主に公共交通用に使われている。

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