The Swiss voice in the world since 1935

5G普及めぐり世論二分 スイス調査

5Gアンテナ
スイス連邦政府は急速な5Gエリアの拡大を目指す © Keystone / Peter Klaunzer

高速通信規格「5G」の通信網拡充をめぐるスイス国内の意見は、依然として割れている。

スイス連邦政府は現在、5Gに関連する新技術がもたらす健康リスクは最小限にとどまるとの見方から、5Gアンテナ7500基の普及を進めている。

しかし価格比較サイト「コンパリス」が1023人を対象に行った調査外部リンクでは、このような政府の方針を支持した回答者は42.5%だった。反対は41.7%で、連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)が昨年に行ったアンケート調査と同様、5Gサービスをめぐるスイス世論は依然として割れていることが明らかになった。

反対派が懸念しているのは、5Gアンテナからの放射線が与える健康被害の可能性だ。しかし連邦環境省は、ネットワーク運用のためのガイドラインにより、安全性は確保されるとしている。

コンパリスの調査では、ETHZの調査結果と同様、性別による意見の違いが浮き彫りになった。女性は迅速な普及に50%が反対し、賛成は29.7%にとどまった。男性は賛成が55.1%、反対が33.6%だった。女性は「分からない」も20.3%と、男性(11.2%)より多かった。

年齢層別では、5G支持派は36~55歳よりも55歳以上の年齢層で格段に多かった。また、教育水準の高い回答者は、5Gに対してより楽観的である傾向が見られた。

反対派は5Gエリア拡大の停止を求めるイニシアチブ(国民発議)2件を提起したが、国民からの広い支持を得るには至っていない。昨年の署名活動では国民投票に必要な署名が集まらず不成立となった。

いくつかの通信業者はスイスの複数の州を相手取り、5Gアンテナの新設許可の一時停止を撤回するよう裁判所に訴えを起こしている。

(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スマートフォンの画面とそれを操作する手

おすすめの記事

スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。

もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
バーゼルの路面電車

おすすめの記事

バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ

このコンテンツが公開されたのは、 5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。

もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部